レスリング世界選手権が開幕!男子2種目でメダル獲得し東京五輪代表内定を勝ち取るのは誰か?
メダル獲得者が東京五輪代表に内定するレスリングの世界選手権が14日、カザフスタンで開幕した。男子はグレコローマンスタイルとフリースタイルの2種目、各10階級(五輪対象は各6階級)が行われ、グレコローマンが開幕カードとなる。最も期待される軽量級60kg級は16日から始まり、2017年の世界王者、文田健一郎(ミキハウス)が登場する。当時の文田は、柔軟性を最大限に生かしたしなやかな投げ技を鮮やかに繰り返し頂点に立った。 今回は、当時と異なるルールが施行されているため、まったく同じようにはいかないだろうが、3年前に大学同期の樋口黎がリオ五輪銀メダリストとなり先を越され味わった喜び混じりの悔しさと頂点に立った経験を生かしたい。 グレコローマンといえば、リオ五輪で銀メダリストとなった太田忍(ALSOK)がいるが、彼は今回、五輪で実施されない63kg級に出場する。東京五輪を目指していないわけではない。当然、60kg級代表の座を文田と争い、敗れたのだ。その後、世界選手権を体感できるチャンスが残されていたため、急遽、五輪で実施されない63kg級にエントリー。代表決定戦を勝ち抜いて、昨年に続き二度目の世界選手権出場となった。 他人が失敗することを望んでいるわけではないがと前置きをしたうえで、「東京五輪をあきらめたわけではなく、去年の世界選手権の悔しさを晴らしたい」と、9位に終わった嫌な記憶を上書きするつもりだ。その後はもちろん、どんな形になるかはまだ決まっていないけれど、五輪決勝で負けた悔しさを、東京五輪で払拭するつもりだ。 太田ともうひとり、五輪経験者である井上智裕(FUJIOH)は、今回は五輪で実施されない72kg級で世界選手権に出場する。リオ五輪後に変更されたルールにより、試合当日の朝、2日間とも体重を合わせるということは、当日計量の経験がほとんどないベテラン選手にとっては試行錯誤の時間も短く準備が大変らしい。体に大きなダメージを残さない形で現役生活を続け、チャンスがあれば東京五輪出場へ挑むというスタンスのようだ。 グレコローマンでは、ぜひ見てもらいたい外国人選手がいる。130kg級にエントリーしているミハイン・ロペス(キューバ)は、2008年北京、2012年ロンドン、2016年リオと五輪を3連覇した37歳のベテランだ。最重量級の選手でありながら軽々と投げ技を決める力強さとテクニックを合わせ持っており、優勝したあとに踊り出すような陽気さで会場のファンの人気を集めている。 キューバの代表合宿に参加した選手から漏れ伝わるところによれば、「強すぎるから、全然、練習しなくてもコーチが一言も文句を言わない。しかも、ときどき酔っ払ったまま練習をすることもあるけど、まったく歯が立たない」という規格外のエピソードが出てくる。リオ五輪のあとは世界選手権へ出場せず、新ルールでは試合当日に2日間とも計量を行うため、ベテランなのでもう復帰はないかと思われたが、今回、25歳の若手選手とともにエントリーを済ませた。