中日のドラフト戦略が迷走? 今年のドラフトで再びショート指名の可能性 球団関係者は「立浪監督続投なら全くないとは言い切れない」
偏りはトレードで調整するつもり?
「立浪監督続投」となれば、監督の意向次第で、どのように指名が転がるか分からない。同じポジションの年齢が近い選手を立て続けに指名することになれば、チーム編成に偏りを生じさせ、批判の声も出ることが予想される。一部の中日ファンには、「成績が低迷し続ける立浪監督は辞任すべきだ」との意見が根強くある。仮に、ドラフトで再びショートを指名することになれば、火に油を注ぐ結果になりかねない。 しかしながら、同じポジションの選手を集める手法が、絶対的に間違いかと問われれば、必ずしもそういうわけではないという。他球団のスカウトは、以下のように指摘する。 「ドラフトの指名は、いろんなやり方がありますが、シンプルなのは一番高く評価している選手を指名して、(選手に)偏りが出たらトレードで調整するという方法です。メジャーの球団は、このやり方が多いと聞きます。日本は、トレードやFA(フリー・エージェント)での移籍が少ないので、なかなか難しいですが、ポジションや年齢のバランスをドラフトだけで解決することは簡単ではありません。編成部門の舵取りが重要だと思いますね」 中日は立浪監督が就任した2021年オフから4件の交換トレードと1件の無償トレードを成立させている。その全てが成功とは言えないかもしれないが、チームを作り変えようとしていたことは確かだ。 他球団を見ると、日本ハムは、新庄剛志監督就任後に7件のトレードを成立させ、今年はAクラスへと躍進している。トレードで移籍した選手の中には渡辺諒、吉田輝星といったドラフト1位で入団した選手も含まれており、このような手法も一つのチームを変える方法ではないだろうか。 果たして、中日球団、フロント陣がどんな結論を下すのか。立浪監督の去就はもちろん、その影響を大きく受けると見られるドラフトの指名方針についても、引き続き注視していきたい。 西尾典文(にしお・のりふみ) 野球ライター。愛知県出身。1979年生まれ。筑波大学大学院で野球の動作解析について研究。主に高校野球、大学野球、社会人野球を中心に年間300試合以上を現場で取材し、執筆活動を行う。ドラフト情報を研究する団体「プロアマ野球研究所(PABBlab)」主任研究員。
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