2025年日本株はなぜ「上値が重くなる」のか 市場関係者が「非製造業株と中小型株」に魅力を感じるワケ
日経平均株価4万2000円台に到達した翌月に、過去最大の下落幅となった“令和のブラックマンデー”を経験した2024年の日本株相場。25年はどうなるのか。 一生お宝になるかも!?【大型の高配当株30銘柄】はこちら! 野村アセットマネジメントの石黒英之チーフ・ストラテジストは「当面のターゲットは日経平均4万3000円」と話す。 「日銀が利上げに動いたように、経済は長いデフレ期間を脱却しようとしています。23年3月に東京証券取引所が市場改革の一環として上場企業に資本効率の改善要請を出して以降、ROE(自己資本利益率)は1年半で8.1%から9.1%へと上昇するなど企業の経営改善も進んでいます。加えて、衆院選を経て自公が少数与党に転落したことで、『103万円の壁』の引き上げなど国民目線の政治も進み出しました。経済と企業業績と政治がようやく三位一体となって回りだした影響で日経平均は高値を更新していくと予想しています」 ■割安な日本株が資金の受け皿に 背景には、アメリカの景気拡大もある。 「アメリカの利下げは25年には止まると予想されているように、経済は堅調です。代表的な株価指数であるS&P500は22~24年の2年間で50%も上昇し、PER(株価収益率/株価の割安・割高度合いを示す)は『20倍限界説』があったのに、それを上抜いて直近でも22倍台の高水準にあります。トランプ次期大統領は、法人税減税や規制緩和でさらなる株高を演出するでしょう。その結果、割高感が出てきたアメリカ株に代わって、割安な日本株が資金の受け皿になる可能性があります」(石黒氏)
一方、山和証券の志田憲太情報部部長は「アメリカは景気を押し上げる高圧経済が続く」と見るが、それが必ずしも日本の株高にはつながらないと分析する。 「すでに25年から本格化するトランプラリーを日本も織り込んでいます。トランプ氏は自国産業の保護を明確にしているため、その政策で日本が受ける恩恵はそう大きくないというのが私の見方。中国に対する関税の引き上げにより、日本製品に対する代替需要が生まれる可能性はあるものの、対日関税の引き上げリスクもあり、25年前半は製造業にとって厳しい環境になることが予想されます。製造業は日経平均のなかで大きなウエートを占めているだけに、日経平均の上値は重たくなる可能性がある」 ■それでも4万3000円まで そのため、25年の日経平均は「4万円を中心値にして上下数%の狭いレンジになる」と予想する。 「株価は企業の利益と期待度の掛け算で決まります。直近の日経平均の予想EPS(1株当たり利益)は2460円程度ですが、来期は2600~2700円に伸びるだろうと予想されている。これに足元のPER15.5倍をかけ合わせて、4万300円~4万1850円が現実的なラインでしょう。24年7月に4万2000円台をつけたときはPERが17倍を超えましたが、これは新NISA効果と1ドル160円を超える大幅な円安で期待度=PERが高まった影響です。12月の日銀政策決定会合後の総裁会見によれば、25年1月の利上げも見送られる可能性が高まったことはサプライズなので、PER16倍まで期待値が高まる可能性はありますが、それでも4万3000円までと見ています」(志田氏)