風土変革におけるミドルの役割
「自分のメッセージが浸透しない...」 営業会社の社長であるAさんは、激変する外部環境やトップマネジメント層の世代交代の中で、会社の変革が必要と考えていました。 取り扱う商材の市場ニーズは高いものの、競合も多く、国内の人口減少が明らかな中、現状維持では会社の未来は少しずつ先細りになってしまいます。会社を成長させるためには、新たな収益源を創出する必要があり、そのためには会社の風土を変えていくことが不可欠です。 一定の離職者は常に存在するものの、現時点での業績は悪くなく、元気な社員も多い。また、日々のオペレーションも順調です。 Aさんは、会社に体力のある今こそ「未来の会社を想像し、そこに向けて打ち手を考え行動するような、未来志向で挑戦的な社員を増やしていかなければならない」と決意し、全社に向けて「挑戦」というメッセージを発信し始めました。
メッセージは同じようには伝わらない
ところが、現場にはそのメッセージが浸透している気配がありません。聞こえてくる中には、現場のマネージャーが「社長はあんなことを言っているけれど、まずは売ればいいんだ」とか「一旦『わかりました』と言っておけばいい」と言っているという話が耳に入ってきます。無視や面従腹背といった態度です。 あるいは「〇〇と社長が言っていますので、まあ頑張りましょう」といったように、言われたことをただ垂れ流すだけのような、マネージャーの意思が感じられないコミュニケーションも見られました。 一方で、少数ではあるもののAさんの期待するような「未来を語り合い、今までにない行動をしていこう」という機運が見られる現場もあります。そうした現場では、マネージャーが、エネルギッシュに活き活きと、現場社員と対話しているのが特徴的でした。 Aさんはマネージャーや社員に対して、同じ場で、同じメッセージを発信していました。それでも現場には受け止め方の違いがある。そこには、マネージャー層のメッセージの伝え方や捉え方、メンバーへの関わり方の違いが影響していることが明白でした。