「ハリスの当選確率60%」は本当か?驚異的な勢いの正体は
トランプの支持率も上っている
ハリスはこのように数々の強みを持っているが、それらは全て、比較的未知の存在であることに基づくものだ。選挙まではまだ2カ月ある。有権者がハリスについて多くのことを知るにつれて、見方が変わってくるかもしれない。 実際、ハリスは4年前の大統領選に名乗りを上げたときも、民主党の候補者指名レースの序盤では最注目の候補者とみられていた。ところが、その後たちまち失速して、早々に身を引くことになった。 今はハリスが勢いに乗っているが、見過ごせないのは、この1カ月でトランプも支持率を1ポイント伸ばしていることだ。ワシントン・ポスト紙とABCテレビの世論調査では、トランプの支持率が43%から44%に上昇している。 それに、ハリスがバイデンよりも支持率を伸ばしたのは主として、民主党でも共和党でもない無所属で立候補していたロバート・ケネディJr.の支持者を奪った結果と見なせる。バイデンが撤退を表明してハリスが事実上の民主党大統領候補になって以降、民主党大統領候補の支持率は42%から47%に上昇し、ケネディの支持率は9%から5%に下落している。 8月23日、ケネディが選挙戦から撤退し、トランプを支持すると表明した。そうなると、本稿で論じたハリスの強みの多くが弱まりかねない。 では、誰が大統領選の勝者になるのか。私は現時点でまだ選挙結果にお金を賭ける気にはなれない。
サム・ポトリッキオ(本誌コラムニスト、ジョージタウン大学教授)