大谷翔平の”キン肉マン化”は本当に間違っているのか?
故・金田正一氏は、ロッテ監督時代に、「走れ」「バケツ一杯の野菜を食え」と推奨していたそうだが、抗酸化力を高める食材の代表が緑黄色野菜だそうで、あながち、古い人の経験則も間違いではないよう。桑原氏も「実績を残した方々の意見は否定できない」という。ただ、現在のトレーニングでは、それらの根拠が理論で説明され、選手に目的を意識づけさせるようになっている。 これまで100人以上のアスリートをサポートし、年間300回以上のワークアウトを実践しているフィジカルの専門家の桑原氏は「大谷のマッチョ化は間違っていないのか?」に対する答えをこうまとめた。 「結局は、野球で、いかに結果を出すかがすべてなんです。イチロー選手のように筋肉の柔軟性、可動域、疲労回復に重点を置く考え方もあると思います。同じ陸上選手でもマラソンランナーと100メートルのスプリンターで必要とされる筋肉とその付き方が違うように野球競技でも、ポジションやプレースタイルによって個人差はあるでしょう。ただ出力が大きくなると靭帯などの腱、関節への負担は増します。そこへのケアが追いついているのかという点での不安、懸念はあります。瞬間的なパフォーマンスはアップしますが、選手寿命を考えると、慎重に考える必要はあります。元々、腱というのは強い部位ですが、そこ自体は鍛えることができません。それらのケアも含めてトータルでワークアウトを考えていく必要はあるのですが、私は、ウエートトレがマイナスになるという、古い球界の考え方は、そろそろ変えていくべきだと考えています。大谷選手の肉体の写真1枚がいろんな人の目を奪う状態になっていることは、僕からすれば今シーズンの活躍が楽しみという印象でしかないのです」 カブスのダルビッシュ有など、すでにウエートトレの必要性と、その効果を結果で実証している選手は少なくない。二刀流復活のシーズンとなる大谷の活躍には、”トレーニング革命”という視点でも注目が集まるのかもしれない。