8年前の影響で地震発生しやすくなった領域も――地震調査委が日本海溝沿い地震の長期評価公表
「昭和三陸地震」型のアウターライズ地震にも警戒必要
このほか、「青森県東方沖から房総沖にかけての海溝寄りで発生するプレート間地震(津波地震など)」(M8.6~9、ただし数字は津波マグニチュード)やアウターライズ地震と呼ばれる「日本海溝の海溝軸外側の地震」(M8.2前後)などについても評価。 津波地震などは30%程度、海溝軸外側の地震は7%と確率を算出したが、海溝軸外側の地震については「1896年の明治三陸地震後の1933年の昭和三陸地震のように、プレート間地震の数十年後に発生することがあるため、長期間の注意が必要」としている。
発生確率やランク分けは安心を得るためのものではない
なお、地震本部はこれらの地震について、30年以内の地震発生確率26%以上を「3ランク」(高い)、3~26%未満を「2ランク」(やや高い)、3%未満を「1ランク」、不明を「Xランク」とそれぞれランク分けしている。これに照らし合わせると、M7級の地震はすべて最も発生確率が高い3ランクにあてはまる。東日本大震災ほどの規模ではないにせよ、津波や激しい揺れなどで大きな被害が生じる可能性がある地震がいつ起きてもおかしくないという評価であることを肝に銘じたいところだ。 また、ランクが低いからといって、その地震が起こらないとは限らない。今回の評価について、地震本部は「東北地方太平洋沖地震から約8年が経過し、震源域及びその周辺で起きている現象の理解が進んだ」としている。こうした最新の科学的知見に基づいて評価されたものであるが、科学的知見には限界があることを8年前に思い知らされたことを忘れてはいけないだろう。こうした地震発生確率やランク分けは、決して安心を得るためのものではない。備えを今以上に進めるきっかけにしたい。 飯田和樹・ライター/ジャーナリスト(自然災害・防災)