【医師に取材】反り腰とは?チェックリストで確認し、原因とリスクを理解しよう。
姿勢の三大悩みのひとつ、反り腰について、スポーツドクターで整形外科医の中村格子さんとパーソナルトレーナーのKAORUさんに話を聞きました。
反り腰|原因は腹筋の弱さ。定期的にチェックを。
「理想的な姿勢とは左右対称で骨盤がまっすぐ立ち、その上に適度なS字カーブを描いた背骨が乗り、さらに首の上にちゃんと頭が乗った状態。一方、背骨が腰のあたりから前側に強く曲がり、腰の反りが強い状態が反り腰です(下イラスト参照)」(中村さん) 男性と比べると筋力が弱いために特に反り腰は女性に多く、「一番の原因が体幹部の筋肉・腹筋の弱さ。骨盤が正しい位置を保てず前に傾きがちになるため、上半身を前に倒さないよう無意識に腰を反るようになるのです。もちろん加齢や運動不足による腹筋の低下も影響します」(中村さん)。 ほかにもこんな原因も。 「ヒールの高い靴を履くことが多い人もなりやすいです。また、胸を張るのが良い姿勢だと思い込んでいて逆に反り腰になるなど、間違った方向でアプローチすることで姿勢のバランスを崩している人も。定期的に立ち姿勢をスマホのカメラなどで撮影してチェックをするのはおすすめです」(KAORUさん)
CHECK!
□ お腹が前に突き出ている。 □ まっすぐ立つと背中が反っている。 □ ヒールの高い靴をよく履く。 □ 腰痛が慢性化。 □ 腹筋が弱い。 □ 前屈がうまくできない。 改善法は、腰周りを伸ばす前屈を。 「丸めたタオルをお腹に抱えるように行うのがポイント。骨盤を良い位置に保ちながら上体を倒せるので、腰を痛めることなく安全に行えます」(中村さん)
簡単リセット!
タオルをお腹に抱えて前屈。 脚を伸ばして床に座り、棒状に丸めたバスタオルを股関節の上に置く。骨盤が前に倒れないようにお腹にタオルを抱えながら、ゆっくり上体を前に倒して前屈をする。
放っておくと…腰痛の慢性化、腰椎すべり症などに発展。
「反り腰は、腰痛が慢性化する原因のひとつ。痛みを感じる=その部位にすでに負担がかかっている証拠です」(中村さん) また、反り腰は積み木のように連なる腰の骨・腰椎がずれることで生じる「腰椎すべり症」を引き起こすことがある。 「長時間歩いたり立っていると腰や脚に痛みが走って歩きにくくなったり、場合によっては脚のしびれを併発することがあります」 さらに、腰椎の内側にある神経の通り道・脊柱管が狭くなり圧迫されて、下半身の痛みやしびれなどの運動麻痺が生じる「脊柱管狭窄症」に発展することも。稀に手術が必要になることもあるという。 「腰痛は慢性化すると歩くことが億劫になりますます筋力を低下させ、また歩かないことで体重も増加する負のスパイラルを引き起こします。将来的な運動機能が低下するロコモティブシンドロームを防ぐためにも、早い段階からケアを行いましょう」