日本勢が「金メダル10個以上」なら日経平均上昇?パリ五輪中の「株高」に期待【解説:エコノミスト宅森昭吉氏】
しかし日本人の「パリ五輪への関心」はまだ低い
■『景気ウォッチャー調査』のコメント数…東京2020開催時は152名、今回は10名 自国開催だった2020東京大会開催前の、21年5月調査での『景気ウォッチャー調査』での「オリンピック」関連先行き判断DIは49.3と4月の46.4から上昇しましたが、景気分岐点の50に僅かに届きませんでした。新型コロナウイルス感染拡大をコントロールし開催されることになった東京オリンピックに対する人々の考え方が分かれていたことを示唆する数字でした。コメントした景気ウォッチャーは5月調査で152人、4月調査の90人から大きく増加し、20年1月の152人以来の最多タイになったのでした。 2024パリ大会前の、最新24年5月調査では「オリンピック」関連先行き判断DIは55.0と4月の58.3から僅かに鈍化したものの、景気分岐点の50を上回っています。しかし、コメントした景気ウォッチャーは5月調査で僅かに10人、4月調査の3人からは増加したものの、自国開催だった21年当時と比べると、5月時点でのパリ・オリンピックへの関心は低い状況です。直前の盛り上がりに期待したいところです。
「獲得した金メダルの数」と「名目GDPシェア」の強い相関性
■東京2020、上位10ヵ国の「金メダル獲得数と名目GDPシェア」の相関係数は0.864 2016年のリオ・オリンピックで日本は金メダルを12個獲得し、ランキングは第6位。ランキング10位までの国の金メダル数と当時の世界経済に占める名目GDPのシェアの相関係数は0.868と高い数字になりました。選手育成などにお金をかけられる国が強いともいえるし、金メダルを獲るとその国の人々が元気になって、景気が良くなるともいえ、相乗効果が生み出されたようです。 この傾向は、2021年に開催された2020東京大会では、日本は金メダルを27個獲得し、ランキングは第3位。ランキング10位までの国の金メダル数と当時の世界経済に占める名目GDPのシェアの相関係数は0.864と高い数字になりました。 また、2020東京大会での金、銀、銅すべての総メダル獲得数をみると、日本は58個のメダルを獲得、ランキングは第5位。ランキング10位までの国の金メダル数と当時の世界経済に占める名目GDPのシェアの相関係数は0.871とこちらも、高い数字になりました。 なお、インドの世界経済に占める名目GDPのシェアは21年では3.1%でしたが、昨年23年には3.6%に上昇しました。インドの2020東京大会での総メダル獲得数は7個(うち金メダル1個)でした。2024パリ大会で総メダル獲得数が増加するかが注目されます。