神戸製鋼がデータ改ざんで会見(全文1)川崎会長兼社長が辞任を表明
マネジメント面の対策について
次に、マネジメント面の対策ですが、品質マネジメントを徹底するため、品質保証部署が製造部署からの独立性を確保するためのガイドラインを定めるなど、品質保証マネジメントの強化を図ってまいります。また、品質キャラバン隊活動により、現場の問題解決も併せて支援してまいります。プロセス面については、品質管理プロセスの強化を目的に、試験、検査、記録の自動化を進めてまいります。また、新規受注時や、製造プロセス変更時の承認手順を見直してまいります。 なお、すでに公表しておりますとおり、米国司法当局の調査下にあることや、カナダで訴訟が提起されていることから、これらに適切に対処するためには、弁護士・依頼者間秘匿特権を維持することが必要となります。一方で、自ら引き起こした不適切行為が社会に与えた影響に鑑みると、説明責任をできる限り果たすことが当社の責務であると考え、外部調査委員会の調査によって明らかになった事実関係も忠実に反映し、当社の責任において本報告書を作成し公表することといたしましたので、ご理解いただきたいと思います。 ここで、当社グループにおける不適切行為に起因し、お客さま、取引先の皆さま、株主さま、そのほか多数の皆さまに多大なるご迷惑をお掛けしたことを重大に受け止め、昨日の取締役会において決議した人事についてご報告いたします。
人事などについて
冒頭にご報告いたしましたとおり、私、川崎博也とアルミ・銅事業部門長の金子明は、昨日の取締役会において本年4月1日をもって代表取締役会長兼社長、および代表取締役副社長執行役員を辞任する旨、申し出をし、取締役会にて受理されました。私および金子は4月1日以降も代表権を有さない取締役として、後継者に業務の引き継ぎを行ったのち、6月開催の定時株主総会で取締役を退任する予定です。なお、後継の社長については近日開催する取締役会において決議し、決議次第速やかに公表いたします。 次に、外部調査委員会から不適切行為の一部を認識していたと認められると報告を受けた、藤井、磯野、平田の3名の執行役員を昨年12月21日付でアルミ・銅事業部門長付としておりましたが、外部調査委員会の調査結果を踏まえて、今般処分を決定いたしました。藤井拓己常務執行役員と、磯野誠昭常務執行役員については本日付で執行役員を退任とします。また、平田誠二執行役員については、本年3月から6月の報酬について80%の減俸措置を行います。 次に、取締役および執行役員の報酬の一部返納についてご報告いたします。社外取締役と監査等委員である取締役を除いた全ての取締役、ならびに藤井、磯野、平田を除いた全ての執行役員について、本年3月より基本報酬の10%から50%を1カ月から4カ月の間返納させるものといたします。次に、過去の取締役、執行役員の報酬の一部返納についてご報告いたします。当社取締役会は、過去に当社の取締役執行役員であった者2名に対して、当時の報酬の一部について自主返納を求めるものといたします。次に、グループ会社の代表取締役の進退についてです。コベルコ マテリアル銅管の益野裕、神鋼メタルプロダクツの安藤裕幸については、本年4月1日にて代表取締役社長を退任といたします。 加えて本年4月1日付で全社コンプライアンスを担当する執行役員、全社品質保証を担当する執行役員を昨日の取締役会にて決定いたしましたのでお手元の資料にてご確認ください。なお4月以降の全体の役員体制については決定次第、速やかに公表してまいります。 最後に不適切事案が発覚してから本日の報告に至るまでの約半年間を振り返り、あらためて私の思いをお伝えしたいと思います。当社グループによる品質自主点検や外部調査委員会による調査の結果、明らかとなった不適切行為に関わる事実関係や、当社が過去、複数のコンプライアンス事案を起こしてきたことも考え合わせると、当社はコンプライアンスに関する体制のみならず、組織風土や役員、社員の意識などの面で根深い問題を抱えていると言わざるを得ません。不適切行為の原因を究明していく過程で、当社の品質保証に関するマネジメントや業務プロセスにおける課題はもちろんのこと、品質問題を超えたガバナンス全般を含む、より根本的な改革に取り組む必要性が明らかになりました。また取締役会の在り方、事業部門制の在り方、人事配置、育成や経営計画策定の在り方など、今後さらに検討を深めていくべき課題も認識しております。 今後とも当社といたしましては最優先事項として安全性の検証に取り組むとともに、再発防止策の項で述べた諸施策を今後、決定する役員体制の下、経営トップが先頭に立って神戸製鋼グループの全社員で真摯に、かつ愚直に実行していくことを通じて、組織体制、企業風土の抜本的改革を進める所存です。約半年間の調査の過程で、お客さまをはじめとする関係者の皆さまには安全性の検証などにおいて多大なご協力をいただくとともに、大変貴重なアドバイスやご意見等もいただきましたこと、あらためて御礼を申し上げます。 神戸製鋼は創業から112年余り、お客さま、取引先の皆さま、株主の皆さま、その他多数の関係者の皆さまからの信頼を大切にして事業を営んでまいりました。その信頼を失ったことは痛恨の極みであります。今回の品質問題に対する当社の責任を果たし、再び信頼していただける会社に生まれ変わるために、私どもは物づくりの原点に立ち返り、確かな品質こそが信頼の核心であることを、あらためて心に刻み、不退転の決意を持って再発防止に努めてまいります。私からのご説明は以上でございます。 【連載】神戸製鋼がデータ改ざん問題で会見(全文2)へ続く