神戸製鋼がデータ改ざんで会見(全文1)川崎会長兼社長が辞任を表明
不適切行為の原因分析について
次に不適切行為の原因分析についてご説明申し上げます。不適切行為の主な原因としては3つに集約されるものと考えております。1つ目の収益偏重の経営と不十分な組織体制については、本社による収益評価に偏った経営姿勢に加え、事業部門への大幅な権限委譲が本社による統制力の低下を招き、本社の品質コンプライアンス統制が十分に機能しませんでした。またガバナンス上の要因として、過去に類似の事象について、当社経営陣が抜本的な対応を行わなかったことや、事業部門内の監査が十分に行き届いていなかったことが挙げられます。 2つ目であるバランスを欠いた工場運営と社員の品質コンプライアンス意識の低下については、工程能力に見合わない製品の製造、生産、納期優先の風土、人事異動がほとんど存在しない閉鎖的な組織、教育研修や懲戒処分に関する制度面の課題。安全性の問題はないため出荷しても構わないといった誤った考え方。これらの事情と相まって醸成された社員の品質コンプライアンス意識の鈍麻が不適切行為の動機となり、またそれを継続させて要因となったものと考えられます。 3つ目の本件不適切行為を容易にする不十分な品質管理手続きでは、不適切行為を招いた品質管理プロセス上の問題として、改ざんやねつ造を可能とする検査プロセス、単独かつ固定化した業務体制、およそ順守することが困難な社内規格の設定がありました。
再発防止策について
続きまして再発防止策についてご説明申し上げます。ガバナンス面につきまして5つの施策を講じてまいります。1つ目はグループ企業理念の浸透ですが、経営トップが社員に直接語り掛ける活動である、Next100プロジェクトを推進し、また毎年10月をKOBELCOの約束月間とし、このたびの品質コンプライアンス違反などを将来に向けての教訓としてまいります。2つ目は取締役会の在り方ですが、5つの改革を通じ、公平性と透明性の向上を図ってまいります。1つ目に独立社外取締役の構成比を3分の1以上とします。2つ目に会長職を廃止するとともに、独立社外取締役の中から取締役会議長を選出します。3つ目に指名報酬委員会を設置します。4つ目に全事業部門長を取締役とする構造を見直すとともに、コンプライアンス、品質を総括する取締役をおのおの配置します。5つ目に、外部有識者で構成される外部品質監督委員会を設置します。以上に加え、コンプライアンスや品質保証を担当する執行役員を外部からそれぞれ招聘し、リスク管理の強化を進めてまいります。