クレーンゲーム業界に風穴 服や雑貨のぬいぐるみを展開する「TOFT」が話題
バッグやチェア、マグカップ、プランターのようなファッショングッズやライフスタイル雑貨をぬいぐるみのようなプロダクトに落とし込み、クレーンゲームの景品として展開するソフトトイブランド「トフト(TOFT)」が、SNS上で話題を集めている。 【画像】クレーンゲームで取れるバッグやインテリア TOFTのクリエイティブディレクターには、クリエイティブ集団「CEKAI」に所属するクリエイティブディレクターでプロダクトデザイナーの酒井嵩人(さかい・しゅうと)を起用。シンプルで独自性のあるデザインは、アニメキャラクターや有名菓子類の景品が並ぶゲームセンターの店頭で存在感を見せる。高い知名度とファンを持つ「人気のIP(Intellectual Propertyの略称。キャラクターなどの知的財産)コンテンツ」の景品が最も人気を集めるクレーンゲーム業界に、無名のオリジナルアイテムで参画するTOFTの狙いを、同ブランドを展開するワイドレジャーの担当者に尋ねた。
TOFTとは?
TOFTは、「アドアーズ」や「楽市楽座」といったゲームセンターを展開するワイドレジャーが手掛ける、ファッション、アート、トイに着想したクレーンゲーム発のソフトトイブランド。同社が運営する国内約70店舗のゲームセンターに筐体を設置している。既存のキャラクターに依存しない、同社独自のプライズブランドを目指して2023年に誕生し、現在までに第3弾までを展開。アイテムは、オブジェとして飾る目的に加えて、バッグやポーチは実際に使用することができる。デザインは、ファッション、アート、おもちゃの要素を兼ね備え、繊細さや洗練性がありながら「誰でも手が届くもの」であることをイメージしているという。同社は、過去に単発のオリジナルグッズを製作したことはあったが、自社ブランドを立ち上げたのはTOFTが初。
年々倍増するクレーンゲームの売上
TOFTを展開するワイドレジャーの、クレーンゲームカテゴリーの2023年度の売上は、2022年と比較してほぼ倍増の大成長を遂げた。同社では、この成長の傾向が数年継続しているという。クレーンゲームの好調の一方で、世間的にはゲームセンター自体は廃業・閉店する店舗が増えている。2024年4月の帝国データバンクの発表によれば、ゲームセンターの閉店は2022年度に15件、2023年度には過去5年間で最多となる計18件発生し、ゲームセンターの店舗数は10年間で約8000店減少するなど右肩下がりに推移している。 クレーンゲーム事業好調の背景には、アニメコンテンツの一般人気の広まりによる客層の拡大がある。いわゆる「マニア向け」だけではない「ファミリー向け」のアニメコンテンツの増加や、推し活文化の浸透によって、幅広い年齢層や客層に応じた作品やキャラクターを景品に起用することが可能になった。加えて、マシンのゲーム性が向上し、初心者にも操作しやすい筐体が増えたこともクレーンゲームの客層を広げている。 現在のワイドレジャーのゲームセンターの客層の中心はファミリー層だが、アニメキャラクターファンが増えたことで、ゲームセンターでしか展開しない限定商品を求めて来店する客足が増えている。クレーンゲームは、「なんとなく暇つぶしに遊ぶもの」ではなく「ゲームセンターに来店する目的」になりつつあるという。