クレーンゲーム業界に風穴 服や雑貨のぬいぐるみを展開する「TOFT」が話題
ファッショナブルでタイムレスなクレーンゲームへ
アニメファンが支えるクレーンゲーム業界で、独自の新ブランドを立ち上げた理由は「社会のトレンドに左右されない、独自性が必要」という危機感からだったと担当者は話す。ゲームセンターの利用属性を調査し、10代後半から20代前半までの女性客が少ないことに着目。これまで獲得できていなかった、若年層を中心とした女性と、ファッション・アートが好きな層をターゲットに設定した。 ターゲットの購買動機を「良いモノをちゃんと買う」「安くておしゃれなものが好き」と捉え、景品の開発で最初に念頭に置いたのは「これまでゲームセンターになかった景品」であること。これまでターゲットではなかったファッション好きやアート好きを店舗にまで来店させるほどの強い求心力を持つ新たなものを生み出すには「本気のクリエイティビティ」が必要だと考え、世界的なクリエイティブを制作しているCEKAIの酒井をクリエイティブディレクターに起用したと担当者は話す。
年に2回、ルックブックを製作
すでに知名度のある既存IPの起用と異なり、独自ブランドはゼロからの発信が必要。TOFTがマーケティングで最重視するのは、筐体作りと世界観発信の方法だという。筐体は、アイテムのカラフルな色彩やグラフィカルな造形を際立たせるため、白を基調とした無駄な装飾のないものを設計。展開している約70店舗全店で同様の筐体を設置することでブランドの世界観を演出している。 加えて、世界観の発信のためにアパレルブランドと同様に年に2回ルックブックを発行。TOFTの筐体を展開する店舗で頒布している(なくなり次第終了)ほか、公式サイトやSNSでクリエイティブを発信している。 第1弾は、導入店舗では、初日から稼働が高く、店舗の景品ランキングの中でも人気アニメの景品を抑えてトップ5に入るという好調な滑り出し。今年7月には陶器メーカーの「マルヒロ」とのコラボレーションアイテムを展開するポップアップをミヤシタパークで開催するなど、今後もコラボ施策にも前向きに取り組でいく意向だ。最新作である第3弾では、布帛のバッグにぬいぐるみのような起毛素材のポケットをあしらったトートバッグを発表。今後は、「ぬいぐるみ」に限らない様々な表現も視野に、ブランドのファンを増やす取り組みを継続していくという。