半導体工場で最大5割省人化 自律走行ロボで点検 日立システムズとugoなど3社連携
日立システムズと日立プラントサービスは31日、ロボット製造のスタートアップugo(東京都千代田区)と協業し、自律走行するロボットで工場点検を自動化する新たなサービスの開発に着手したと発表した。ロボットが工場内を巡回して設備を点検し、収集したデータを分析して設備運用の効率化につなげるシステムの構築を目指す。今秋に国内の半導体工場で実運用し、2024年度中に商用化する計画だ。 【関連写真】ugoは高さ180センチメートルまで伸び、高所のメーターも読み取れる 開発を進めるサービスは、各種センサーを搭載したugoのハイブリッド型業務ロボット「ugo(ユーゴー)」が工場内を巡回し、日立システムズのメーター自動読み取りサービス「CYDEEN」と連携して、工場内の温度・湿度などの環境データや計器メーターの値を自動で取得する仕組み。取得したデータは、日立プラントサービスが培った大規模工場設備の保守ノウハウと掛け合わせ、エネルギー効率の改善や故障の予兆検知などの設備運用の効率化につなげる。 日立プラントサービスの矢野邦彦執行役員は「ロボットが点検作業とデータ収集を自動で行い、データ分析を通じて可視化することで、ベテラン技術者が感覚的に行っていた作業を再現できる」と説明する。将来的には人工知能(AI)を活用し、保守計画の立案なども支援できるようにする。 ugoはAIとカメラを搭載しており、あらかじめ設定した巡回ルートを自律走行し工場内の設備を点検。CYDEENは、デジタル・アナログを問わずメーターの数値を読み取ることができ、ugoに各種環境センサーを搭載することで、温度、湿度、気圧といった環境情報を収集することもできる。 23年10月から国内の半導体工場で実証を行い、効果を検証。「点検業務では3~5割の省人化につながった」(矢野氏)という。 今後は、施設全体の監視・保全管理を支援するUaaS(ユーティリティー・アズ・ア・サービス、工場付帯設備の運用支援サービス)としてサービス展開を強化していく。
電波新聞社 報道本部