オリジナル要素もバズったドラマ『ゴールデンカムイ』プロデューサーに聞く実写化の手ごたえ 「天狗だけは」「サスペンダー」の裏話
制作陣も予想外だった「サスペンダー」のトレンド入り
日露戦争後の明治後期の北海道を舞台に、道内のどこかに隠されたアイヌの莫大な金塊をめぐる戦いを描いた『ゴールデンカムイ』(著:野田サトル)は、2024年1月公開の実写映画の続編となるドラマ『連続ドラマW ゴールデンカムイ―北海道刺青囚人争奪編―』全9話が2024年10月から放送され、大好評で幕を閉じました。そして、12月1日の最終話放送後、「続編映画」の制作も発表されています。 【画像】え…っ? 刀の構え方も、肌の色も、目力も、「眉毛」も完璧!こちらがドラマ『ゴールデンカムイ』最終話でついに登場「鯉登少尉(中川大志)」です 実写化において、カット、改変をしなければならない部分は少なからず出てきますが、「ゴールデンカムイ」シリーズは実写版のオリジナル要素も高い評価を受けました。また、アニメではカットとなったエピソードの映像化も反響を呼んでいます。実写『ゴールデンカムイ』シリーズを手掛けたWOWOWのプロデューサーである植田春菜さんに、ドラマへの反響、こだわり、裏話について聞きました。
――ドラマになって時間をかけて描くことができた分、狩猟やグルメにアイヌ文化、その他『ゴールデンカムイ』らしい小ネタや、原作での攻めた表現の再現も増えていました。特にドラマにして「ここを表現できてよかったな」と思う場面はありますか。 植田春菜さん(以下、敬称略) 細かい部分を挙げ出すとキリがないのですが、特に手ごたえを感じたのは2話の「辺見和雄(演:萩原聖人)がシャチに投げ飛ばされる場面」ですね。あのシーンは野田サトル先生にも、とても喜んでいただきました。 植田 また、第8話の「沈黙のコタン」のエピソードも、個人的に原作でもすごく好きなこともあって、ドラマ版で描くことができてよかったですね。コタン(集落)のアイヌたちが偽物だと気付かない杉元が、「アシリパ(演:山田杏奈)」さんに関する話題で一気に戦闘モードになる場面など、コメディーとシリアスの緩急を描いたことで、反響がありました。 ――第2話「杉元佐一(演:山崎賢人)の全裸」や、4話の短縮された「茨戸の用心棒」のエピソードなど再現されなかった場面は、どのような理由でカット、改変となったのでしょうか。 植田 昨今の撮影現場では男女ともに肌を露出する場面というのは非常にセンシティブで、俳優さん自身に納得してやっていただけるかを大事にするのが大前提です。ただ、第2話の杉元が辺見を助けるために海に飛び込む場面は、全裸になるのが問題というよりもリアリティの面で、上着だけ脱いで海に入る形になりました。 辺見が海に落ちてすぐに助けに行かなければいけない状況のため、実写の表現としては、全裸になるよりも最低限の上着だけ脱いで急いで飛び込むほうがリアルだという判断です。ただ、あの場面で杉元が「サスペンダー」を着けていたことがあんなに話題になるとは予想外でした(笑)。 もちろん時代考証もしっかりして、着けていてもおかしくない衣装としてあの格好になったのですが、トレンド入りするほど話題になり、サスペンダーに「萌える」人がこんなにいるとは驚きでした。 「茨戸の用心棒」に関しては、描きたいエピソードだったのですが、話数に限りもあるなかで、主人公の杉元中心に話を進めていくという観点で、短くすることになりました。野田先生や集英社の方々とも相談して、「尾形百之助(演:眞栄田郷敦)」が「土方歳三(演:舘ひろし)」の一派に合流したり、「奥山夏太郎(演:塩野瑛久)」が登場したりと、ストーリーに必要な要素を残して現在の形になっています。