オリジナル要素もバズったドラマ『ゴールデンカムイ』プロデューサーに聞く実写化の手ごたえ 「天狗だけは」「サスペンダー」の裏話
「私が行って殺してきます」「天狗だけはダメだって」大きな話題となった実写オリジナルセリフ
――前出の「杉元のサスペンダー姿」や、第3話の尾形百之助に対する「鶴見中尉(演:玉木宏)」の「さすがは曲がりなりにも軍神の倅だな」や、「月島軍曹(演:工藤阿須加)」の「私が行って殺してきます」のセリフなど、原作にないオリジナル要素も好評ですね。 植田 視聴者のみなさんが本当に細かい部分まで原作と比較してくださっているなと感じています。特に反響があったのはやはり、月島の「私が行って殺してきます」のセリフですね。 あとは、第4話の「家永カノ(演:桜井ユキ)」に拷問された男娼(演:佐伯大地)が、家永が持っている天狗のお面に反応して「じいちゃんが言ってたんだ 天狗だけは駄目だって」という場面もすごく話題になりました。 原作でも家永は該当の場面で天狗のお面を持っているのですが、あのセリフは台本にはなくて、現場で第4話監督の落合賢さんが遊び心で足したものです。そういった原作にない要素も楽しんでいただけて、ほっとしました。 それ以外でも、第5話では原作の「キロランケ(演:池内博之)」が競馬に参加する場面を変えて「丁半博打」にするなど、いくつか大きな改変はしているのですが、ちゃんと意味がある形で変えています。なので、ファンの方々から「実写だとこうなるのか」「納得がいく改変だった」という風に言っていただけて、ありがたかったです。 ――いろいろ話題になった要素はありますが、第8話での「誰なのおじさん」の登場は特にいろんな反響があったのではないでしょうか。映画、ドラマの第1話と最終話を担当した久保茂昭監督がおじさん役というのも驚きでした。 植田 第8話を担当した片桐健滋監督が、やっぱり「誰なのおじさん」は登場させたいとこだわっていたなかで、そもそも衣装や特殊メイクのチームの技術がすごいので、もともとそこまで「誰なのおじさん」に似ていない人でもいけるのでは?という話になったんです。 それで現場で久保監督に対して「誰なのおじさん役どうですか」という話題が盛り上がって、私も「本当に大丈夫ですか」と確認もしたんですが、久保監督も「お客さんが喜んでくださるならやります」と引き受けてくれました。でも、久保監督ももともと特殊造形や特殊メイクが出てくるような作品が大好きな方で、また監督自ら特殊メイクを施されるような役を演じるというのはなかなかないですし、お客さんはもちろん久保監督も楽しんでいただけたんじゃないかと私は思います。 ――映画は2時間かけて3巻途中までをしっかり描くというスタンスで、ドラマも全9話を使って3巻途中~11巻序盤までと、とにかくじっくり話を進めているのが印象的でした。 植田 実写『ゴールデンカムイ』を企画した松橋真三プロデューサーから学んだことで、原作を再現するうえで、あまり欲張り過ぎないということが基本姿勢としてありました。見せ場を盛り込み過ぎず、原作の短い範囲をしっかり実写化することで、お客さんに「もっと見たい」と思ってもらえるのかなと。 松橋さんが手掛けた実写「キングダム」シリーズ(原作:原泰久)も、原作5巻までの話だけで映画1作目(2019年)を作っていて、当時ひとりの観客として「ここまでしかやらないのか」と驚いたのですが、それでも満足感はしっかりあったんです。あれもこれもと詰め込んで映像化するのではなく、むしろ「引き算」が大事だと学ばせていただきました。 ――最終話の放送後に、ついに続編映画の情報がありました。まだどんな内容になるか、どこまで再現するのかは話せないかと思いますが、「ここを再現してほしい」というファンの方々の反響はすごいですね。何か一言続編を待っている皆さんに最後にお願いいたします。 植田 詳細はまだお話できないのですが、おかげ様で引き続きWOWOWが製作幹事として、続編映画の製作が決定いたしました。まずはWOWOWでドラマ版の全9話を配信しておりますので、ぜひたっぷり楽しんでいただけたらうれしいです。 ※山崎賢人さんの「崎」は「たつさき」 ※アシリパの「リ」は小文字
マグミクス編集部