「飲み会はもはやオワコン」「ブラック企業イメージも悪影響?」…。ワタミの「サブウェイ買収」に見る居酒屋の“衰退の現実”
また、そのうち190店舗はミライザカ・鳥メロであり、社名を冠した「和民」は2021年、コロナ禍の最中にひっそりと姿を消している。 ■苦難を招き、事業の多角化を進めてきたワタミ このように、もはや宅食が事業の柱となっているわけだが、ワタミが外食事業以外を手がけるのは新しい話ではない。 「和民」1号店は1992年に笹塚に誕生。1996年には店頭公開し、2001年には海外へ出店した。一方で、外食だけに頼らない企業構造を目指すべく、2004年には介護事業、2008年には宅食事業への参入も果たした。2010年にはこれらを合わせた事業収入が、外食の売上高を超すまでに成長した。
しかし、2008年には自殺した元社員の両親がワタミに対して損害賠償を求める裁判を起こし、メディアの報道姿勢も相まって、「ブラック企業」の代表のように扱われるようになった。 フードアナリストの三上成文は2015年時点で、この影響が少なからずワタミの客足に影響しているだろうと指摘していたが(今のやり方を続けると、ワタミの浮上はない 「大量閉鎖85店上乗せ」を招いた真因)、そこにきて2008年以降の価格競争で大きく体力を削られたこともあり、2015年には飲食事業全体の約15%にあたる102店舗の撤退を決定。
こうした外食事業の業績不振もあり、2015年、稼ぎ頭であった介護事業をSOMPOホールディングスに売却した。 さらにその騒動がひと段落したと思った2020年にはコロナ禍が来る。当然、コロナ禍の影響を直で受けて同社の売上高は大幅に下落。2021年3月期の営業損益は97億円もの赤字となっている。 ■コロナ禍以後も厳しい居酒屋チェーン さらに厳しいのは、コロナ禍が明けても居酒屋需要がかつてより戻らないことだ。
日本ソフト販売株式会社によれば、居酒屋・バー全体の2023年から2024年の店舗数推移を見ると、7.1%の減少。数にして522店舗の大きな減少となっている。2023年はコロナ禍が明け、本格的に人流が回復した年であったが、それでも居酒屋には人が戻っていないのである。 ただ、面白いデータもある。帝国データバンクが発表している「酒場DI」は「お酒にまつわる場所の景気」を示すデータだが、これによれば、「酒場DI」は2023年に入って、コロナ禍前を超える水準に回復したという。