【40代、50代・薬と上手に付き合う方法④】市販薬ですませるか、医療機関を受診するかの見極め方は?
風邪の諸症状、頭痛や生理痛、花粉症などは、市販薬で様子を見る人も多いのでは? はたしてそれで大丈夫なのだろうか? 市販薬ですむのか、医療機関を受診すべきか? 手遅れにならないための見極め方を、薬剤師の鈴木素邦(そほう)さんに伺った。
ほかの風邪症状のない咳は要注意!
鼻がぐしゅぐしゅする、喉が痛い、胃がシクシクする、軽く頭痛がするといった不調。病院へ行くほどではないかと、薬局に向かう人も多いのではないだろうか? そこで薬局の薬剤師や登録販売者などに相談しながら薬を選ぶ人、店頭のポップなどを見て自分で選ぶ人もいるだろう。 「症状が軽い場合はそれですみますが、市販薬では治らないケース、なかには命にかかわったり、重症化する病気が隠れていることもあります。その見極めの目安を知っておくと安心です。 例えば、致死率が30%というくも膜下出血では、おもな症状は頭痛です。後頭部をバットで殴られたような強烈な痛みを経験する人が約半数、そこまでではないものの、いつもしない頭痛がしたというケースもあります。これを市販薬で様子を見ていたら、命にかかわる事態となります。直ちに医療機関、場合によっては救急車を呼ぶべきでしょう。 風邪をひいたかな? と思ったときの市販薬では、すべての症状を網羅した総合感冒薬を選ぶ方法のほかに、咳などの症状に対応した薬を選ぶこともできます。なかでも注意が必要なのが咳(咳止め)と頭痛(解熱鎮痛剤)です」(鈴木さん) そこで、よく使われる3大市販薬について、知っておきたい危険な症状をまとめた。 【咳止め薬】 咳や痰(たん)、息苦しさを改善したい場合も市販薬を利用する人が多いと思う。 「特に痰の切れをよくする薬は安全に使えるものが多いので、あまり問題はありません。しかし、風邪症状によくみられる鼻水、鼻づまりなどのほかの症状がなくて、咳だけ、もしくは咳と発熱がある場合は注意が必要です。 頻度は少ないですが、肺炎や肺結核などの感染症、喘息(ぜんそく)の場合もあります。これらは通常の市販薬の咳止めでは病状を改善できませんし、放置すると命にかかわる病気です。さらに、喘息に使うと悪化させる咳止めもあるので、喘息の既往がある人は医療機関の受診は必須です。 下記の症状がある場合は、市販薬ですまそうと思わずに医療機関を受診することをおすすします」 《注意が必要な咳》 ●寒気が続き、震えが止まらない ●鼻水、喉の痛みなどの症状がなく、咳と高熱が続く ●咳が3週間以上続き、だんだん悪化している ●痰を伴わない空咳 ●呼吸時にゼーゼー、ヒューヒューと音が鳴る ●呼吸困難になることがある ●咳で胸が痛む、血痰が出る、体重減少がみられる ●咳が出始める前に海外にいた