自民総裁選に最多9人が立候補、「刷新感」先行に懸念も-告示
小林氏は、経済安保を国の重要政策として世界に先駆けて作り上げたことや、半導体産業の再生や宇宙政策を「先頭に立ってけん引してきた自負がある」と強調。仮に首相になればベテランも含めた適材適所の人事を断行し、政権運営に当たる考えを示した。
両陣営には若手議員を中心に派閥の枠を越えたメンバーが集まり、政策作りや選挙の運営を支援している。小林氏を支援する武部新衆院議員は、派閥を越えてそれぞれが専門性を持ち込むことで、全体としての政策の遂行能力を上げることを目指すと述べた。
一方、神田潤一内閣府政務官は、日本経済が引き続き厳しい局面にあり、外交や安全保障分野でも難しいかじ取りが迫られる中、刷新感や変化だけを追い求めるのは「リスキー」だとの見方を示した。岸田派に所属していた神田氏は「人気投票を行う党内ポピュリズム」の様相を呈していると危惧するとも語った。
早稲田大学の中林美恵子教授は、長期間予備選を戦う米国と日本の違いはあるものの、就任時のオバマ、クリントン両元大統領のように「国のトップが40代でも問題ない」と指摘する。若い議員の出馬は日本が「古い派閥政治から脱却するのかもしれないというポジティブなサイン」だとして、今までにない選ばれ方をした人がどれくらい活躍してくれるのか見るのはとても興味深いと話した。
判断問われる若手
派閥の解散は、幹部の意向に従うことが多かった若手議員に自らの政治信条を明確にするよう促す機会ともなっている。
小泉氏を支援する山田美樹衆院議員は「これまでは派閥の意思決定に縛られざるを得ないところもあったが、今回は一人一人の判断が問われる」と語った。ベテランから若手まで候補者がそろった中で、「なぜこの人なのか」を地元の有権者に説明する必要が出てきたといい、「日本にとって今、何が必要なのかという政治家としてのメッセージとなる」と述べた。
ただ、総裁選が上位2人による決選投票となった場合、派閥が再び影響力を発揮する余地も残っている。決選投票では国会議員票367票と地方票47票と議員票の比率が高まるため、派閥単位での特定候補への投票が結果を左右しかねないからだ。