自民総裁選に最多9人が立候補、「刷新感」先行に懸念も-告示
(ブルームバーグ): 自民党総裁選が12日告示され、過去最多の9人が立候補を届け出た。派閥解散の影響もあり、2人の若手議員が含まれている。「刷新感」を示した形だが、イメージ先行の総裁選びを危惧する声も出ている。
出馬したのは届け出順に高市早苗経済安全保障担当相、小林鷹之前経済安全保障担当相、林芳正官房長官、小泉進次郎元環境相、上川陽子外相、加藤勝信元官房長官、河野太郎デジタル相、石破茂元幹事長、茂木敏充幹事長。このうち、小泉、小林両氏が40代だ。
国会議員の支持動向には、派閥が影響力を持っていた。1972年以降では2008年と12年の5人が最多だったが、今回は麻生派を除く5派閥の解散決定で立候補予定者が推薦人20人を確保しやすくなり、記録を更新した。乱立模様となったことで党員票をより多く獲得できる候補者が上位に入る可能性がある。
法政大学大学院の白鳥浩教授は総裁選について、「刷新感」を意識して直後に予想される衆院選や来年の参院選で勝てる「顔」を選ぶ「選挙対策総裁選」だとの見方を示した。人気投票の側面が強く、「政治ができなくても選挙を乗り越えようというインセンティブが働く」のが現実だと指摘した
衆参両院議長らを除く党所属の国会議員は8月20日時点で367人。人数が変わらなければ、党員・党友票も同じ367票に換算した計734票を巡り、各陣営が争うことになる。出馬に意欲を示していた野田聖子元総務相は小泉氏の支援に回る。斎藤健経済産業相は11日、立候補断念を記者団に明らかにしたとNHKが報じた。
チーム力
小泉、小林両氏のように40代の立候補は自民党が野党に転落した2009年の総裁選以来となる。「刷新感」の象徴といえる存在だが、党三役や複数の閣僚を務めたことがある他候補に比べると「経験不足」は否めない。
小泉氏は12日の所見発表演説会で、自らについて「足りないところはいっぱいある。1人で何でもできるタイプでもない」と評した上で、「最高のチーム」を作って改革を進めると語った。演説を聞いていた議員に「力を貸してください」と呼び掛けた。