性的行為の予感…夫の抑えられない欲求に歯止めをかける声のかけ方
ひとりで抱えこまないで
介護の現場で出会った人から「幸せになる方法」を教わった、と語る介護福祉士でイラストレーターの高橋恵子さん。今度はあなたに、イラストと言葉でメッセージを届けます。 【本編を読む】次のイラストは 「私を冷静にさせた、骨張った夫の乾いた脚」
介護のなかで、多くはありませんが、行き当たることもある、 高齢者の性の問題行動のこと。 その状況に遭遇したとき、介護者がショックを受けるのは当然で、 それが近い関係であればなおさらです。 まず大前提として、同意のない性的な行為は、どんな関係性であっても犯罪です。 パートナーだから、家族だからと、 我慢したり、内々で解決しなければならないと考えたりするのは大間違いです。 「高齢者の性の問題行動は、人恋しさからくるものですから、 コミュニケーションを多くとったり、思いつめたりせず、周りで明るくいなしてください」と これまで言われてしまいがちでしたし、現に私も言われたことがあります。 けれど、それこそが介護者に重くのしかかっていた枷(かせ)なのではないでしょうか。 問題行動の一因としては「一部の高齢者は老化による判断力の低下などから、性の欲求を抑えづらくなっている」とみられています。 とはいえ「原因が原因なのだから、仕方ない」と、 絶対にひとりで抱えこまずに、 介護にかかわる専門職や身近な人に相談し、対応を行うことが鉄則です。 しかし、対応を熟慮したとしても、 在宅介護であれば限界があります。 じゃあ、どうすればいいのか。 それは、問題行動が起こりそうだな、と周りが察知した時、または最中でも、 性衝動に揺らいでいる本人が、理性を保ちやすくなるだろうと思われる話題を、積極的にふること。 それが予防線のひとつとなります。 今までしてきた仕事のこと。 家族のこと。 その人が大切にしてきたこと。 そういった本人の人生の核となるような話題を向けつづけて、 自ら、話してもらう。 経験上、私の周囲ではその積み重ねが効果的でした。 もちろんこれは、介護者の安全が確保できている場合の例です。 介護者の愛情や優しさのもと、なあなあにされてきた、性の問題行動。 その被害に遭いそうになったときは、 暴行されそうな時と同じく、 逃げるのをためらわないでください。 まずは、ご自身の身体と心を守っていただければと思います。
高橋恵子