「救急車」には料金がかからない? 「選定療養費」に「救急車代」は含まれるのでしょうか?
みなさんの中には、選定療養費に救急車代は含まれるのかどうか、分からないという人もいるかもしれません。そこで今回は、救急車の利用にかかる費用と選定療養費の関係を解説します。 救急車の利用が無料である理由、医療費との関係、選定療養費が発生するケースを説明し、適切な救急車の利用方法を提案します。 ▼町内会費の支払いを拒否したら「今後ゴミを捨てるな」と言われた! 本当に従う必要はあるの?
救急車の出動件数と費用
救急車による救急搬送は「無料」とされていますが、総務省による令和5年中の救急出動件数は763万7967件(対前年比40万8395件の増加、5.6%の増加)、搬送人員は663万9959人(対前年比42万2676人の増加、6.8%の増加)でした。 救急出動件数と搬送人員ともに集計開始以来最多です。また、軽症(外来診療)が321万4831人(48.4%)と半分近くを占めており、中等症(入院診療)が285万1385人(42.9%)、重症(長期入院)が47万8740人(7.2%)となっています。 前年と比較すると、構成比では軽症が27万4725人と9.3%増加している背景には、救急車の利用自体は無料なため、タクシー代わりに使う事例が報告されているようです。 茨城県では、緊急性が認められない救急車の利用時は選定療養費の運用の見直しを予定するなど、救急車のあり方について議論が始められるようになりました。
医療費と救急車利用の関係
日本では原則的に誰でも救急車を無料で利用できます。しかし、救急車1回の出動で4万5000円ほどかかると試算されています。救急車の利用料金は無料ですが、治療費や薬代は当然請求され、深夜や休日の場合には時間外医療費も請求されるなど、すべてが無料になるわけではありません。 また、救急車で搬送された病院が大きな病院で、通常、紹介状が必要な病院の場合、救急搬送でも選定療養費が徴収されるケースがあるため注意が必要です。
救急搬送で選定療養費が発生するケース
救急搬送で選定療養費が発生するのは「特定機能病院」「一般病床200床以上の地域医療支援病院」「一般病床200床以上の紹介受診重点医療機関」です。特定機能病院とは、高度医療の提供や高度な医療技術の開発や研修を実施する能力等を備えた病院のことをいいます。 また地域医療支援病院とは、「かかりつけ医」への支援を通じて地域医療の確保を図る病院、紹介受診重点医療機関とは、医療法に基づき紹介患者への外来を基本とする医療機関として都道府県が公表した病院です。 選定療養費は、対象病院への救急搬送後に緊急入院や緊急手術をするなど重篤な状態であれば発生しませんが、軽度な症状の場合は請求されるケースがあります。ただし、救急外来受診のための紹介状を持っていれば発生しないといわれています。