「峠の釜めし」でおなじみの荻野屋が目指す、その先の世界とは?
●日本が誇る山々を眺めて、荻野屋の味を!
―荻野屋を今後、どのような会社にしていきたいですか? 髙見澤:いままでの歴史で培った経営資源が弊社にはありますので、それを活かして新たな形に再構築していくことが必要だと思っています。その根底にある「お客様に向き合ってお客様に楽しんでいただく」という考え方、もともとは、旅を楽しんでいただくというところから始まったこの考え方をより広げていきたい。人生は旅とも云いますから、荻野屋と接点を持つことで人生を楽しんでいただける、そういう“記憶に残る会社”を目指したいです。 ―社長お薦め、荻野屋の駅弁を美味しくいただくことができる鉄道の車窓は? 髙見澤:いまの列車は、車窓が見えにくいのが難点ではありますが(笑)、このエリアは、山に囲まれているわけですから、「山」を眺めて、召し上がっていただきたいと思います。私は新幹線で東京へ行くときに富士山が見えると嬉しいですし、日本らしさを感じていただけるのではないかと思います。北陸新幹線では、軽井沢周辺から見える浅間山も大変美しいです。ただ、駅弁の楽しみ方も時代に合わせて変わっていっていいものだと思います。
荻野屋の数ある弁当のなかでも、昭和40年代から半世紀以上の歴史を誇るのが「峠の鳥もも弁当」(1050円)です。詳しいルーツはよくわかっていませんが、荻野屋は碓氷峠で愛宕荘という旅館を営んでいた時代があり、宿では旅館で飼育していた鶏料理を出していたのだそう。このあたりに弁当としてのルーツがあるのではないかということでした。いまは横川店・軽井沢駅などでごく少数が販売され、出逢えるとラッキーな弁当の1つです。
【おしながき】 ・ご飯(コシヒカリ) 梅干し ごま ・若鶏の骨付きもも揚げ ・自家製鶏もつ焼き ・下仁田蒟蒻の煮つけ ・利尻昆布佃煮 ・自家製栗きんとん ・漬物
荻野屋の駅弁では希少な「白いご飯」を食べられる「峠の鳥もも弁当」。十字に結ばれたとじ紐をほどき、レトロな掛け紙を外して、思い切り骨付きの揚げたもも肉にかぶりつけば、「食べる喜び」の原点のようなものが感じられて、お腹も心も満たされます。自家製のもつ焼きや栗きんとん、さらに、群馬らしく下仁田のこんにゃくも入ってご当地らしさもしっかり。長年、“繊細な”鶏肉に向き合ってきた荻野屋の技が、存分に味わえる駅弁です。