【漫画家に聞く】知人が自分に送ったはずの郵便物、なぜ亡き父の宛名で届いた? 不思議な実話を描いたSNS漫画
知人が自分に送ったはずの郵便物が亡くなった父親宛てだった――。そんな不思議な出来事を描くのが、まるいがんもさん(@kenihare)が描いた漫画『不思議な宛名』。毎日コミックエッセイを投稿している彼の多くの作品のひとつである。 知人が自分に送ったはずの郵便物、なぜ亡き父の宛名で届いた? 実話をもとにした漫画『不思議な宛名』 本作は10年以上前の実体験をもとに制作されており、作者自身もいまだに意味を理解できていないのだという。そんな不思議さを持つ作品と毎日描き続ける意義について、まるいさんに話を聞いた。(小池直也) ――本作の反響はいかがですか? まるいがんも(以下、まるい):本作は2年ほど前に描いた作品で、最近の投稿が3回目の再掲だったんです。オチがない話なのもあってか、特にバズったとかはありませんでした。 ――この話をエッセイ漫画にしようと思ったのはなぜでしょう。 まるい:あれは10年前に起きた本当の話です。不思議だし謎も解けていないですし、父と仲が悪かったとか後に夢に出てきたとかもありません。ただ長年「あれは何だったんだ?」という想いがずっとあって。 基本的に「何でもネタにしてやろう」と思っているので漫画にした感じです。フィクションを混ぜるならオチも付けるのですが、この話に関してはそういう気にはなりませんでした。 ――エッセイ漫画を描く時は昔の記憶を頼りに描かれるのですか? まるい:「こんなことがあったな」と思い出して描くことが多いですね。本作もいつか描こうと長らく考えていたネタです。 ――絵柄について意識していることは? まるい:特に意識はしていません。1日1ページ描く、という習慣を4年くらい続けているんです。質よりも描く習慣の方を優先しているので、絵について意識していることはないですね。まれにその習慣で描いた作品がバズったりもしますけど。 一時期だけ、いい感じになるかと思ってキャラを猫に変えたこともありました。でも途中で飽きて、今は元に戻しています(笑)。正直コミックエッセイよりも、創作漫画でちゃんと構成を考えて描いた作品でバズってほしいですね。コミックエッセイは日記の垂れ流しみたいなもの。だから反応の有無はどちらでもいいんです。 ――1日1ページ描く習慣は、ご自身にとってどんな意味が? まるい:僕は今44歳ですが、漫画を描き始めたのが38歳からと遅かったんですよ。きっかけはコルクが運営する、短期集中プログラム「コルクラボマンガ専科」に応募したことでした。その二期生なんです。最初の授業で代表・佐渡島庸平さんが「毎日描きなよ」って言っていて、そこから毎日描きだしたんですよ。それをずっと続けています。 今では筋トレみたいなもので、やらないと気持ち悪いと思いますね。でも早い時は30分で終わりますし、長くても1時間で終わらせるので大変ではないです。絵が上手くなったと思いませんが、習慣の甲斐もあってかアイデアに困ったことはありません。 ――影響を受けた作家は? まるい:自分と傾向は違いますが、井上三太さんが好きです。あとコミックエッセイ作品はよく読んでいました。最近だと小坂泰之さんの『放課後ていぼう日誌』やサメマチオさん、まんきつさんの作品を読んでいます。 ――今後の目標などがあれば教えてください。 まるい:今は兼業で漫画を描いているので専業で食べていけるようになるのが、差し当たっての目標です。 ――30代後半で漫画を始めて、40代で仕事にできたら夢がありますね。 まるい:もう年齢はどうでもよくなってきていますね(笑)。よくも悪くも大人になれてないのかもしれません。
小池直也