貴重映像で振り返る終戦秘話と天皇陛下“平和への思い”【皇室 a Moment】
象徴的なのは、戦後50年の1995(平成7)年に行われた「慰霊の旅」です。天皇皇后時代の上皇ご夫妻は、7月26日に長崎、翌27日に広島、8月2日には日帰りで沖縄を訪ね、「国立沖縄戦没者墓苑」で慰霊し、翌3日は東京大空襲の犠牲者らをまつる「東京都慰霊堂」で花を供えられました。 前の年には、東京からおよそ1200キロ離れた硫黄島を訪れ、慰霊碑に花を供えられています。 ――本当に国中を回られたんですね。
一方、海外での初めての慰霊訪問は、戦後60年の2005(平成17)年、太平洋のサイパン島でした。上皇ご夫妻は日本人の多くが身を投げた「バンザイ・クリフ」などで深々と拝礼されました。 戦後70年の2015(平成27)年には、パラオのペリリュー島を訪ねて慰霊されています。
■天皇陛下や愛子さまに受け継がれる「4つの日」
上皇さまは1981(昭和56)年に「どうしても記憶しなければならないことが4つある」と、沖縄戦終結の日、広島と長崎の原爆の日、終戦の日を挙げ、「平和のありがたさをかみしめたい」と述べられました。 そして、「子供たちに強く印象づけられるよう努力していく」というお気持ちも示されています。 ――そういったお気持ちが今の両陛下に受け継がれているのですね。 「4つの日」は今の天皇ご一家も大切にされています。今年の広島、長崎原爆の日もご家族で黙とうされました。
こちらは1981(昭和56)年、陛下が広島の原爆慰霊碑で初めて慰霊された時の映像です。大学の卒業論文の資料収集のために岡山県などを訪ね、広島を訪問されました。また、長崎での慰霊はこの4年前の1977(昭和52)年、学習院高等科の春休み、九州旅行の折でした。当時の長崎新聞には「九州に行くならぜひ長崎にと深く心に決めておられた」という侍従の話が載っています。多感な時期に“行かねばならない”という強い思いだったんだろうと思います。
2015(平成27)年、戦後70年の夏、陛下は中学2年生の愛子さまを伴って戦争に関する2つの特別展をご覧になりました。いずれも戦時中や終戦直後の暮らしぶりを紹介する企画展で、愛子さまに平和のありがたさを伝えようとされたと思いました。戦争体験者らとも懇談されています。 ――この戦争と平和への思いは、上皇さまから陛下そして愛子さまへと受け継がれているんですね。 そう思います。