貴重映像で振り返る終戦秘話と天皇陛下“平和への思い”【皇室 a Moment】
■前代未聞 行間に9文字が書き入れられた「終戦の詔書」
こちらはこの時、昭和天皇が読み上げた「終戦の詔書」の原本です。驚くのは、天皇が目を通して署名し、御璽が押された原本ですが、挿入する9文字が、行間に小さく書き入れられていることです。“前代未聞”の詔書です。
――なるほど公式の文書ですが、書き直す時間もないくらい、8月15日に向けてよほど緊迫した中で作られたということが分かりますね。 文書の文言を巡って閣僚間の激しい意見のぶつかり合いがあって、その落とし所を探っていく中で落ちついたのが、あの書き加えたというところなのではないでしょうか。「日本のいちばん長い日」の映画をみますと、そういう雰囲気も伝わってきます。“クーデター”が収拾されなければ日本はどうなっていたかと思うとぞっとしますね。
■終戦の7年後、独立の4日後に行われた「全国戦没者追悼式」
――さて、8月15日には毎年、天皇皇后両陛下が出席されて日本武道館で「全国戦没者追悼式」が行われます。追悼式は戦後すぐ始まったのでしょうか? それが違うんですね。
「全国戦没者追悼式」が初めて行われたのは、終戦から7年後の1952(昭和27)年5月2日、場所は新宿御苑でした。「サンフランシスコ平和条約」が発効して日本が独立を回復した4日後です。毎年8月15日に行われるようになったのは1963(昭和38)年からで、会場は、日比谷公会堂、靖国神社と移り、戦後20年の1965(昭和40)年8月15日から日本武道館で行われるようになりました。 昭和天皇:「追悼式に臨み、往時をしのび、また内外の現状を見て、感慨まことに深いものがある。ここに全国民とともに、国運の進展と世界の平和を祈り、心から追悼の意を表する」 日本武道館は前の年に建てられたばかりで、東京オリンピックの柔道会場となりました。 ――追悼式は最初から8月15日に行われたというわけではないんですね。 そうなんですね。
■皇室50年の「慰霊の旅」、サイパン島など海外でも慰霊
そして、皇室は「終戦の日」以外でも先の大戦の犠牲者の慰霊を大切にしてきました。