プロ宣言した197cmの大型新人・坂本怜の進化に盛田正明テニス・ファンドコーチの弘岡竜治氏「怖さを与えるようになった」【テニス】
{プロで通用するテニスは持っている。あとはフィジカル、メンタル面の違いを経験し強くなってもらいたい
――それが相手への「怖さ」になっていく。ボールを置きにいったらやられる、という相手のディフェンスに圧力をかけているようでした。 「一見するとミスは増えていますよね、でも、そのぶん相手にプレッシャーをかけて、そこだけではなく、試合の後半に生きてくる。相手の頭に(印象が)残るショットが、打てるようになってきました」 ――プロの厳しさも知り、一皮むけて年明けの全豪オープンジュニア優勝となるのですが、勝ち切っての優勝する感覚など、その時のことを振り返っていただけますか。 「プレシーズンをすごく良い状態で過ごしました。アグレッシブなテニスで練習、トレーニングをして、IMGにプロがくるので、その選手達とマッチ練習をして『あ、通用するんだ』という自信がまず一つありました。オーストラリアの前哨戦のジュニアの大会で優勝して自信もついていましたし、(その時に)全豪オープンジュニアも勝つだろうな、という雰囲気がありました」 ――コーチとしてはその雰囲気、佇まいをずっと維持してもらいたいと悩むのでは? 「彼(坂本)の場合は、負けが込んでも試合後にうまく切り替えて引きずらないので、そこは良いところでもありますね。いい意味で次の日にはケロッとしている。そこはテニス選手として大事なところです。ずっと勝ち続けることはないので。次々と試合に出場していく中で、そこはすごくいい性格。自信もそんなに落ちることはないですね」 ――岩本功ジュニアデビスカップ監督は、身長がまだ伸びていて、まだ体の厚みという点ではまだまだだと。だけど、4、5年で(ツアーを回れる身体に)なっていくというお話でした。 「筋肉をつける、大きくしていくことはもう始めています。もちろん単純にデカくするというより、崩れずにしっかりするために必要な筋肉をつけていく、という感じです。力強い球を打つというよりは、いわゆるコアの部分ですね、体の安定性を作っていくには、人間は筋肉が必要なので柔軟性を失わないようにそこをどう育てていくかというのが大事だと思います」 ――全米オープンでジュニアは最後です。今後、チャレンジャーなどに向けて特別に取り組みを変えることはあるのでしょうか。 「常に目標ややらなければいけないことをやっているだけなので、この大会だから何かをするということではなく、長い目で見てグランドスラムでどうやって勝つのかを考えています。過程としてはもちろんフューチャーズもチャレンジャーも入ってきます。これまでとはフィジカル面、メンタル面というのが一番違うと思います。そこは強くなって経験してもらうことですね。プロで通用するテニスは持っているので」 ――坂本選手のIMGでのタイム(練習)スケジュールについて教えてください。 「シーズンによって違ってきますが、基本的にテニスは午前が2時間、午後が2時間ぐらいで、フィットネスが2回やる時と1回の時があります。それにプラスして、個人的な球出しだけをやったり、選手からリクエストがあったりする。1回のセッションはポイント系を多くして、もう1セッションは1時間から1時間半の球出しなど必要なものだけやるような感じです。今は、フィジカルトレーニングを多くやることもありますし、テニスのボリュームを増やそうとすることもあります」 ――追い込んだ練習後のケアも管理しているのでしょうか? 「彼の場合はランチと休憩の時間でよく昼寝しています。たくさん食べて、たくさん寝る。一番大事なところです。基本的に彼は怪我が少ない。身体が柔らかいということもありますし、こちらから言わないのに習慣のように自分でしっかりウォームアップ、クールダウンをする。プロは試合期間中であってもトレーニングをやっていますが、ジュニアは難しい場合もあります。フィットネスコーチがついてないとか、そんな時には上手くコミュニケーションを取って、メニューを作っています」 ――総合的に坂本選手をみているのですね。 「特に怜の場合はあえて1対1だけのコーチングにならないようにしています。彼の性格的にもコーチ(日本のナショナルのコーチやIMGコーチなど)みんなでチームとしてやる方が雰囲気が良くなる場合がある。そこの関係性は大事にしてやっています」 ――盛田正明テニスファンドのコーチとして他の日本人選手もケアしながらの坂本選手の帯同という感じになるのでしょうか。 「この1年はそうですね。帯同してくれたコーチとはコミュニケーションを取って、試合を遠隔で観るようにしています。『こういうふうにした方が良いんじゃないか?』ということを選手と話したり、他のコーチと話す時もあります」