根強い人気の「必殺シリーズ」、近年関連商品が続々発売され絶好調…「仕掛人」たちに聞いた
盛り上がる出版界
出版界の動きも活発だ。2022年9月、シリーズ50周年に合わせて立東舎から刊行された高鳥都氏の著書『必殺シリーズ秘史 50年目の告白録』は、京都映画(現・松竹撮影所)のスタッフ中心という一見地味なインタビュー集でありながら異例のヒットを記録し、続いて『必殺シリーズ異聞 27人の回想録』『必殺シリーズ始末 最後の大仕事』が刊行された。 そして10月18日には、第4弾となる新刊『必殺シリーズ談義 仕掛けて仕損じなし』が発売されたばかり。立東舎の編集者であり、リットーミュージック出版3部の部長を務める山口一光氏に必殺本のムーブメントについてうかがった。 「もともと書き手として注目していた高鳥都さんの著書であり、雑誌の連載がきっかけでした。しかし取材対象の大半がスタッフ、本の表紙に使用するスチールはシルエットと“役者の顔”がほぼ見えない打ち出しに社内外から心配の声が多かったことも事実です。高鳥さんは『絶対に大丈夫!』と言ってましたが、こちらは半信半疑で……(笑)。 ところが山﨑努さんによるSNSでの発信も後押しとなり、蓋を開けたら発売後に即重版、さらに3刷出来という好スタートとなりました。必殺ファンだけでなく各界著名人からの評価も高く、映画本大賞にランクインするなど、望外の反響をいただくことができました。 その勢いに乗って、およそ2年間で4冊を上梓。さらに、かや書房さんからも『必殺仕置人大全』『早坂暁必殺シリーズ脚本集』の2冊が刊行されており、共同で書店フェアを開催することになりました」 9月下旬より紀伊國屋書店新宿本店や神保町・書泉グランデをはじめ、全国56の書店で「高鳥都の必殺本まつり」が展開されており、ここでも必殺シリーズの根強い人気がうかがえる。俳優や監督ではなく、撮影現場の職人スタッフを中心とした必殺本のおもしろさは、どのようなところにあるのだろうか。 「書籍内でもよく語られていますが、『京都映画では録音部が演技や脚本に口を出す』というように、スタッフのみなさんが当事者意識を強く持って作品づくりに邁進していたのが『必殺』の大きな特徴だと思います。 ですからインタビューも俄然熱を帯びますし、記憶は鮮明で、具体的なエピソードがバンバン出てきます。『京都映画の口さがない人たち』という発言に代表される、強烈なパンチラインが毎回繰り出されるのもすばらしいですね。 また撮影所での取材は自ずとスタッフ同窓会の様相を呈することになり、ひさびさの出会いをよろこぶ皆さんのお姿も印象的です。取材を通じて、再会の場を提供できた……もう、それだけで“いい仕事”だと思ってしまいます」
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