なぜ有馬記念は3歳牝馬のレガレイラが18㎝差で勝ち1番人気が沈む万馬券の大荒れレースとなったのか…背景に「超スローペース」「斤量差」「戸崎の気合」「師走の風」
そして超スローペースに泣き、馬群に沈んだのが1番人気6着のアーバンシックだ。この秋はセントライト記念、菊花賞を連勝し、本格化を感じさせていたが、この日は、名手ルメール騎手がスタートで出遅れた。観衆がどよめく中、3番という内枠の利を生かし、すぐにリカバリー。内ラチ沿いをスルスルと前へ出したところまでは良かったが、中団で周りを馬に囲まれて動くに動けない状態になった。ストライドの大きい馬だけに持ち味を殺された。途中、無駄な足を使ってスタミナを消費。リズムに乗れなかったことで最後の直線で伸びなかった。 「残念ながらスローペースでした。状態は良かったしレースはスムーズでしたが、ペースだけでしたね」と神妙に話すルメール騎手。勝ったのが、お手馬だったレガレイラだけに心中は穏やかではなかったはず。武井亮調教師も「なんせペースが遅くて、よーいドンではきつい。GⅠのペースなら全然やれる。来年GⅠ取れるとジョッキーも言っていた」と巻き返しを誓った。 また2番人気に支持された今年の日本ダービー馬のダノンデサイルも3着に終わった。1番枠を生かしてハナを切った。予想された作戦でもあり、3着なら及第点とも思えなくもないが、超スローペースで先行馬が有利の展開だっただけに、ダービーで見せた爆発力が不発だった点には一抹の寂しさを覚える。 「まだ3歳馬。現時点での力は出し切った」と話す主戦の横山典弘騎手とは対照的に安田翔伍調教師は、「初めての古馬相手の競馬でしたが、内容としてはもうひとつ。ダービーのころに比べて何か失ったものがある感じがした。栗東に帰って確認してみないと」と眉間にしわを寄せた。 大本命だったドウデュースが不在となり、大混戦が予想された今年のグランプリは、その通りの大荒れの激闘となり、世代交代を印象付けた。 2025年は、明け4歳の馬が中心に回ることになるだろう。新女王レガレイラの今後は未定だが、同厩舎でジャパンカップ4着の2冠牝馬チェルヴィニア、さらに香港ヴァーズ3着のステレンボッシュなど、この世代の牝馬はタレント揃い。これにダノンデサイル、アーバンシック、シンエンペラーなどの牡馬も加わり、海外遠征を含めて激しい覇権争いを演じてくれそうだ。
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