なぜ有馬記念は3歳牝馬のレガレイラが18㎝差で勝ち1番人気が沈む万馬券の大荒れレースとなったのか…背景に「超スローペース」「斤量差」「戸崎の気合」「師走の風」
4コーナーの勝負所では隣の古豪ディープボンドが急激なペースアップに対応しきれずに後退しており、そこにできたスペースを見逃さず一気に加速したことも勝因のひとつ。「うまく進路が取れた」と戸崎騎手。最後の叩き合いは3歳牝馬ということで斤量が58キロのシャフリヤールより4キロ軽い54キロがものを言った形だ。 3歳牝馬の勝利は、1960年のスターロッチ以来64年ぶりの快挙。戸崎騎手にとってはジェンティルドンナで制して以来10年ぶり2度目のグランプリ制覇となり、笑顔がはじけた。 「この子はジェンティルと違い、女の子らしい優しいタイプ。それでいてきょうの走り。もう可能性しか感じませんよ」 有馬では「不利」とされた大外16番で、しかも6歳であることから10番人気と評価を下げたシャフリヤールが2着に入ったことで、馬券は馬連で49番人気の2万470円、馬単で86番人気の3万3100円と万馬券となった。3着には先行して粘った2番人気のダノンデサイルが入ったが「8-16-1」の3連単はなんと19万6520円の夢馬券である。馬連、馬単とも万馬券になったのも2014年のジェンティルドンナ→トゥザワールド→ゴールドシップ以来、10年ぶりだ。 クリスチャン・デムーロ騎手が2021年の日本ダービー馬の底力を引き出した。 「リラックスしてリズム良く走れていた。坂下までは伸びてくれたが、残り100メートルで苦しくなってもたれてしまった」 デムーロ騎手は鼻差の2着が悔しくて仕方がない。 昨年は5着。目指していた香港での出走がかなわず、帰国後に慣れない中山競馬場で調整した結果の敗戦だったが、今回は「今年は順調に来た。臨戦過程は雲泥の差。あれで5着やったんやから」という藤原英昭調教師の期待に応えた。 「不利な枠を考えれば、人馬ともに100点満点。成熟しているというか、経験を積んで6歳になってまだ良くなっている。大した馬やね」 藤原調教師は結果に満足で現役続行をにおわせた。 有馬の大外枠は、グレード制が導入されて以来、3着以内に入ったことのない「死の枠」だった。しかし昨年もクリストフ・ルメール騎手が騎乗した2冠牝馬のスターズオンアースが大外枠から2着に入っており、実力馬で鞍上の騎手に力があれば、善戦はできるということを証明した。もう有馬の8枠「死の枠」説は、覆していいのかもしれない。
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