元小結阿武咲が涙の引退会見「相撲をとれる体ではなくなった」 今後はスキンケア用品の企業に就職 同学年の元貴景勝とは「同じ時代に生きられてよかった」
18日に現役を引退した大相撲の元小結阿武咲(28)=本名打越奎也、阿武松=が19日、両国国技館で引退会見を開いた。12年の力士生活を終え「今はものすごくすっきりした気持ち。やり切ったなという気持ちでいっぱい」と心境を語った。 【写真】引退会見で涙を見せる阿武咲 もう目は真っ赤 最近は膝や足首、腰、肩のケガに悩まされて満身創痍(そうい)。今年の名古屋場所から3場所連続で途中休場し、来年初場所での幕下転落が確実となっていた。日常生活でも、夫人の助けを借りなければ普通に歩行などができない状態だったといい「正直、もう相撲をとれる体ではなくなりました」と、決断に至った理由を説明した。 思い出の一番には、昨年初場所13日目の大関貴景勝戦を挙げた。同学年で少年時代からのライバルと、自身が優勝争いの1差単独トップで直接対決。押し出しで敗れて並ばれ、優勝もさらわれたものの「昔から知っている間柄で、最高峰の舞台で優勝争いをしている。勝敗よりも、うれしかったのが強かった」と振り返った。 9月に引退した元貴景勝の湊川親方には電話で報告。「本当にありがとう。同じ時代に生きられてよかった」と感謝を伝えると「オレら頑張ったよな」と言葉が返ってきたという。会見でやりとりを思い出すと、言葉を詰まらせて涙。「自分の中ではやっぱり大きい存在でしたね」と目元を拭った。 今後は相撲協会には残らず、自身も愛用していたスキンケア用品を扱う企業に来年4月に就職する予定。「今までたくさんの方々が支えてくださった。今度は自分が誰かのお力になれれば」と思いを明かし「どんな相手だろうが絶対逃げないと決めて、常に全力でぶつかってきた。これからの人生も逃げずに、常に真っ向勝負で生きていきたい」と、第二の人生への意欲を語った。 断髪式は来年6月1日に両国国技館で開催される。