鹿児島県 一村展を大島紬で特別鑑賞 大島紬美術館ときもの専門誌 60人が大集合 都美展、連日にぎわい
【東京】台東区の東京都美術館企画展示室で開催されている「田中一村展」が連日、4000人のにぎわいで長蛇の列となっている。15日、同美術館に併設するレストランに各地から大島紬の女性が集合。特別ランチに舌鼓を打った。参加者らはその後、同美術館学芸員の案内で田中一村作品を鑑賞し「不屈の情熱の軌跡」を堪能していた。 同イベントは大島紬美術館(肥後勝代代表取締役社長)と、きもの総合ファッション誌「きものSalon」(世界文化社グループ)の共催で行われたもの。60人を集め休館日に開催された。森内千鶴編集長によれば「募集をしたところ、前例のない速さで応募枠に達しました」という人気ぶりだった。
自慢の大島紬に身を包んだ参加者らは、レストラン・サロンへ。「海の幸サラダ・奄美の調べ」や「みはしのあんこ入り・アダンの海辺仕立て」などの特別ランチに舌鼓を打った。その間、肥後社長と森内編集長によるきもの談義が交わされ、歓声のなか帯が当たる抽選会もあった。「きものや自然のほか奄美の魅力は何」との森内編集長の問いに、静岡県焼津市から参加した、きもの世界遺産アンバサダーでもある秋庭総子さんは「人です」と手を上げ即答。「おもてなしが最高でした。大島紬は軽くて旅行にも持っていきやすい」と笑顔だった。 熊本市からやって来た陶芸家・佐藤志保子さんは、自ら作った帯留めを示しながら「奄美は島自体がパワースポットのようです。大島紬は柄も魅力的で動くほどに音と光沢、艶(つや)が他とは違いますね」と奄美に魅せられたように語った。
会場では、一村と親交のあった押川弘道さんによるシマ唄も披露され、奄美の風を受けながら参加者は手拍子や踊りを楽しんでいた。その後、一行は美術館へ移動。お目当ての田中一村展に。学芸担当の中原淳行(あつゆき)さんの解説を聞きながら鑑賞。代表作などに花を添えるよう、60以上の大島紬が館内を彩った。「軽いし着た瞬間、気持ちがたかぶりますね」と大島紬を語る女性は、満足そうに見入っていた。 肥後社長は「(一村展)主催者の日本経済新聞社、そして東京都美術館と、きものSalonの協力があってこそ特別企画が実現しました。とても感謝しています。これを機に大島紬をもっといろんな人たちに知ってもらえたら」と期待を込めていた。