BLANKEY JET CITYの「スリリングな音」の凄さ…聴けば人生が変わるほどの魅力を、音楽ライターが解説
少年の繊細さを、照れ隠しなしに歌う
続いて、柴さんはセカンドアルバム『BANG!』に収録の『冬のセーター』を紹介した。 柴:ブランキーは『D.I.Jのピストル』もそうなんですけど、けっこう不良のイメージの曲が多い。車、バイク、革ジャンとかのイメージが多いのですが、それとはあえて違う1曲がこの『冬のセーター』です。この言葉を選んでくるっていうのも、ブランキーの歌詞の魅力のもう1つの大きなポイントですね。ちょっと強がっている不良ではなく、繊細な少年なんですよね。弱々しくて傷つきやすくてナイーブな。そこを照れ隠しなしに歌ってしまうタイプの曲です。 あっこゴリラ:その素直な歌詞がぶっ刺さるんですよね。 柴:曲中では、自分の頭にモデルガンを向けて撃つっていう、ある種自ら命を絶つことの「ごっこ」というか、そういう振りをする光景を描いている曲ですが、そことサビの冬はとても寒くて長いから、おばあさんが編んでくれたセーターを着なくちゃっていう組み合わせの落差ですね。この曲は、この2つのイメージ落差がセンチメンタルな気持ちを思い起こさせてくれます。 3曲目に柴さんは『SEA SIDE JET CITY』を選んだ。 柴:この曲は、2000年リリースの現時点では最後のアルバムになった『HARLEM JETS』に収録されている曲です。『D.I.Jのピストル』と『冬のセーター』はどちらかというと、初期のアルバムの収録曲なんですけど、これはあえて最後のアルバムから選びました。BLANKEY JET CITYって、そもそも何っていうことなんですけど、浅井さんが以前のインタビューで「BLANKEYっていう名前のおっさんが市長のJET CITYっていう未来の架空の街なんだ」と「その街で起こるいろんな物語とかを書いている」というようなことを言われていて。つまり『SEA SIDE JET CITY』って“BLANKEY JET CITY”という1つの架空の街の情景を書いた曲なんです。