【PISA2022】日本は“世界トップレベル”に異論あり!? 実は学力が上がったわけではなかった衝撃事実
◆3領域全てで“世界トップレベル”と報道された「PISA2022」だが……
PISAは、正式名称「Programme for International Student Assessment(生徒の学習到達度調査)」の略称で知られる、OECD(経済協力開発機構)が進めている国際的な学力調査。 【グラフを見る】世界的に下がり続けるPISA平均得点 義務教育の修了する15歳を対象に「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」の3領域での学力を測っています。例年3年おきに実施されるのですが、新型コロナが世界的に大流行したため、2021年の予定が一年延期されて、2022年の実施となっています。 2023年末に結果発表された「PISA2022」では、参加国81カ国中、日本は「読解力」が3位(2018年は15位)、「数学リテラシー」が5位(同6位)、「科学リテラシー」が2位(同5位)という好成績を残しました。 3領域とも、比較可能ななかで過去最高かそれに並ぶ順位だったのです。 とはいえ、PISAは「読解力(PISA2000)」「数学的リテラシー(PISA2003)」「科学的リテラシー(PISA2006)」の順で重点的に調査しているため、開始当初と結果と単純比較ができるわけではありません。 実は、調査開始当初の2000年は「数学的リテラシー」が1位、「科学的リテラシー」は2位だったので、これらの年と比較すると少なくとも「数学的リテラシー」は、今回の結果が過去最高順位というわけではないということがわかります。 それでも前回の「PISA2018」に比べたら、順位が回復したようには見える日本の「PISA2022」。やはり喜んでいい結果なのでしょうか。詳細を分析してみると意外な事実がわかりました。
◆世界的な規模で「学力低下」が起こっている
これはあまり知られていないのですが、読解力は2000年のOECD平均を500点、数学的リテラシーは2003年のOECD平均を500点、 科学的リテラシーは2006年のOECD平均を500点としています。中心分野それぞれの開始年におけるOECD加盟国の平均が500点になるように調整された得点を使っているのです。 こうして算出されている2012年以降OECD加盟国の平均得点は、PISA2012→PISA2015→PISA2018→PISA2022の順に、「読解力」は496点→493点→487点→476点、「数学的リテラシー」は494点→490点→489点→472点、「科学的リテラシー」は501点→493点→489点→485点と、3つの領域すべてで一貫して下がり続けていることがわかります。 つまり、世界的な規模で「学力低下」が起こっているのです。そうなるとOECD加盟国の平均得点が下がったため、その結果、日本は押し出される形で順位が上がっただけという可能性が出てきました。これを別の角度で検証するため、もう少し詳しく調べてみました。