【推しの子】の「すしのこ」発売、舞台裏をタマノイ酢新社長に聞く 61年間続く“すしのこ”デザインを「有馬かな」へ変更する挑戦
今年4月、ネット上で、お手軽に酢飯を作れる粉末寿司酢「すしのこ」がバズった。人気アニメ【推しの子】と特別コラボ商品を発売するというニュースが飛び込んだからだ。6月1日に発売される特別コラボでは、1963年の発売以来、初めてロングセラー商品のパッケージデザインを変更し、「有馬かな」らアニメキャラが登場する。4月、製造元の老舗企業「タマノイ酢」(本社・大阪府堺市)の社長に就任した播野貴也氏に、「特別コラボ」を実現した舞台裏と、今後の展開を聞いた。 【動画】60年続くロングセラー「すしのこ」を受け継いで
◆【推しの子】すしのこの狙いとは
――「すしのこ」と「推しの子」が入れ替わるというコラボレーション企画について教えてください。 エイプリルフールの4月1日、『【推しの子】』TVアニメ公式X(旧ツイッター)が「『推しの子』が『すしのこ』になります」というリリースを出しました。 消費者は「最近トレンドのエイプリルフールネタだろうな」と受け取ったと思います。 その後、4月4日に本当に「すしのこ」のパッケージに【推しの子】のキャラをデザインした特別コラボ商品が発表され、Yahoo!トレンドの1位を獲得しました。 エイプリルフールネタが本当だった、というわけです。 ――コラボはどんなきっかけで生まれたのですか? 「『すしのこ』と【推しの子】の響きが似ている」「聞き間違えた」といった声がSNSに上がっていたのがきっかけでした。勝手に「すしのこ」のパッケージを【推しの子】のデザインに変えた画像がアップされていたのです。 それが1人ではなくて、複数の方がされていました。 たまたま名前が似ていたのですが、両者をうまくつなぐことで、今まで「すしのこ」を使っていなかった若い人たちにも知ってもらえるのではないかと考えました。
◆【推しの子】コラボ、若い社員が盛り上がった
――「推しの子」とのコラボ企画に対する社内の反応はいかがでしたか? 若い世代の社員たちにこの企画を話したときは、まったく反対する声はありませんでした。 むしろ「面白い企画ですね!」と、大いに盛り上がりました。 どちらかというと、社員たちは「会社として問題ないのか」ということを気にしていました。 というのも、「すしのこ」のパッケージは61年間変えていなかったからです。 社内でもロングセラー商品のパッケージを変える発想は誰も持っていませんでした。 しかし、当時の社長に話して、何とか実現にこぎつけました。 ――前社長の反応はいかがでしたか? 驚いていましたが、前社長は「推しの子」を見ていないので、よく分からないというのが正直なところだと思います。 「周りの若いメンバーと自分がいいと思って責任を持って動くんだったら、やってみたら?」と、任せてもらえました。 多分、これを提案したのが5年前だったら即却下されていたでしょう。 これまで前社長といろんな仕事に取り組み、プロモーションをやり切ったりしていく中で、少しずつお互いの信頼関係が出来上がり、任せてくれる部分が増えてきていました。