スズキがエステーと車内用の消臭芳香剤を共同開発。両社がコラボした理由とは?
2024年10月11日、スズキはエステーと共同開発した車内用の消臭芳香剤「Air Forest YOWAN(エアフォレスト ヨワン)車用エアケアキューブ」をスズキ公式ECサイト「S-MALL」とスズキ販売店で発売すると発表した。2025年春までの発売を予定している。 【画像】Air Forest YOWANの写真を見る ■なぜコラボしたのか? 今回なぜ両社は共同開発に至ったのだろうか? スズキのコーポレートベンチャリング事業担当の瀬尾洋幸氏によると、かつて自身がエンジニアだったころ、クルマの振動・騒音性能の開発に携わっていた。その車両走行実験中に同乗者が乗り物酔いに困っており、そんな経験から乗り物酔いに着目した。 乗り物酔いは、車内に存在するさまざまなニオイ(例えば、新車臭、革のニオイ、タバコ臭や食べ物臭など)が原因の一つになっているが、ニオイの改善はスズキの力だけでは解決できなかった。というわけで、香りのエキスパートであるエステーに声がけをして、業界の垣根を超えてタッグを組むことになったという。 さて、乗り物酔いの発生のメカニズムであるが、乗り物の揺れやスピードの変化といった内耳(三半規管など)が感じる情報と視覚で受ける情報、体で感じる情報がズレることによって起こり、不快感・ストレス・不安などの精神的因子も影響しているといわれている。 そこで、車内の不快なニオイを軽減し、快適な車内を実現することを目的にスズキとエステーが共同開発を実施。実際に車内での官能評価(商品に対するユーザーの嗜好や悪臭の感じ方を確認するための手法)を繰り返し行い、9種類の香りの候補から検討を重ね、北海道のトドマツの天然精油を配合した香りが車内の不快感を軽減することが判明した。エステーでは以前から森の空気がなぜきれいなのか研究を行っており、二酸化窒素の除去試験で優秀な成績だった北海道のトドマツ(葉油)に着目していたという。 新商品の「Air Forest YOWAN 車用エアケアキューブ」は、エステーグループの日本かおり研究所株式会社が国立研究開発法人 森林研究・整備機構とともに開発した北海道トドマツの間伐材から抽出した機能性樹木抽出成分の「クリアフォレスト」を活用。これまで自然廃棄されていた未利用の枝葉を有効活用し、樹木の香りで空気の質を改善する画期的でサステナブルな成分である。 ■商品の特徴 クルマ移動が苦手な人に向けて開発した車用の消臭芳香剤として、よどみやすいクルマのニオイ空間に森の香りの力でアプローチし、快適な空間へとサポートする。北海道トドマツの天然精油を配合し、爽やかな心地よいグリーンの香りになっており、車内の不快臭に対する高い消臭効果があるという。 パッケージはトドマツの森林を水彩画タッチのイラストで描写し、森の静けさとすがすがしい空気を表現。また、「Air Forest YOWAN」のロゴと組み合わせることで、シンプルで上質感のあるデザインに仕上げた。商品名の「YOWAN」は、「Your Wants」の頭文字を組み合わせた造語で、森の香りの力を借りて、不快な移動空間にアプローチし、快適なクルマでの移動を希望する“あなたの望み”に寄り添うという意味が込められている。 商品の内容量は29.5グラム(瓶の寸法は直径60mm×高さ75mm)で、中身の丸みのあるトドマツのキューブが車内に柔らかな温かさを与える。トドマツキューブは詰め替え方式となっており、別売りのつめかえ用で繰り返し香りを楽しむことができる。香りは約1~2カ月持続する(季節や使用状況により異なる)とのことである。 ■販売方法 商品名:Air Forest YOWAN 車用エアケアキューブ 発売日(予定):2025年春 販売ルート:スズキ公式ECサイト「S-MALL」 全国のスズキ販売店 内容量:29.5グラム 価格(予定):本体2000円(つめかえ用1000円) 販売目標:1万個 製造元:エステー株式会社 販売元:スズキ株式会社 エステーは自動車メーカーとの共同開発は初めてとのことで、これまでは消臭がメインで、他社を見てもクルマの外から持ち込む悪臭を対策する商品がほとんどだった。ところが、今回はクルマの中の不快感を低減することを目的としており、商品開発のアプローチが違う商品となっている。今回は業界の垣根を超えた共同開発によって、ユーザーの実際の課題に寄り添った製品を生み出すことができたという。まずはクルマの空間を対象とした今回の製品からスタートするが、本技術をさらに発展させ、移動に伴うあらゆる不快感を解決することが最終ゴールであり、今回はその第一歩になるとのことである。 移動の自由をもたらすクルマであるが、それを阻害するニオイに対処するのが今回の新商品であり、画期的である。これを超えるスズキとエステーの次なるコラボに期待したい。
編集部(yoshikawa)