厚労省が指定した、重篤な障害を起こす4つの健康食品とは？ 見過ごせない健康障害報告
「お茶で血圧が下がるなら薬を飲む前に試してみようか」「健康食品でダイエットできるならそれがいちばん楽でしょう」「食生活が不規則だからビタミンやミネラルで補うしかない」などと、健康食品はすっかりわれわれの生活に浸透している。 【前編】豊胸を夢見た女子学生が語る被害の苦しみ しかし実は、健康食品では機能性や安全性について何の保証もない健康食品が多く販売され、健康被害の大半はこれらの製品で発生している。ならばどんな健康食品を使えばいいか、使いたければ自身で見分ける目が必要である。そのため健康食品で被害に遭わないための基礎知識をさまざまな事例を通してわかりやすく解説した著書『健康食品で死んではいけない』より、健康食品の素材がなぜ毒に変わるのか連載形式で紹介する。 前編<豊胸を夢見た女子学生が語る被害の苦しみ…美肌、アンチエイジングなど美容サプリに隠された闇>
更年期障害の治療用であるハーブ型健康食品も禁忌に
プエラリア・ミリフィカが大きな問題となったのち、厚労省は摂取量を誤ると重篤な健康障害が発生する可能性のある健康食品素材に関する検討会を開催した。そしてプエラリア・ミリフィカを含めて4つの健康食品を、製造管理にいたるまでチェックする指定成分とした。 指定された健康食品で2つ目のブラックコホシュは、米国では今でも更年期障害の治療用として用いられているハーブ型健康食品である。だが、プエラリア・ミリフィカのように女性ホルモン的作用がある他、肝不全、肝壊死を伴う肝機能障害、急性肝炎、一過性自己免疫性肝炎、胆汁うっ滞と肝機能障害、急性肝機能障害、亜急性肝不全、重度の筋無力症、皮膚血管炎、完全心ブロック、口唇ジスキネジア、類内膜腺がん、低カリウム血症などと多数の健康障害報告がある。
後悔に責めさいなまれる被害者たち
3つ目のコレウス・フォルスコリーは、脂肪燃焼と筋肉増強によるシェイプアップ効果があるとされる。これに含まれるフォルスコリンという化学成分は脂肪燃焼効果を確かに示す。だが製造方法の違いにより成分含量に大きな差が出やすく、健康障害報告が多く出されている。それは過剰な体重減少、軟便および下痢、悪心・嘔吐、頭痛、便秘、発疹・かゆみなどである。 4つ目のドオウレンは欧米では販売されている。化学成分としてアルカロイド成分を含み、種々の痛みや体調不良を改善するとされる。一方、健康障害として、胆汁うっ滞性肝炎、急性肝炎、薬物誘発性肝障害、接触皮膚炎など多数報告されている。 これらの疾患名を聞いても、そんなこともあるかと軽く考える人がいるかもしれない。しかしプエラリア・ミリフィカで健康被害を訴えた学生もそうだが、一度こうした被害に遭うと、なかなか治らなかったり、自分を責めたりする。健康被害に遭うことは、本当に大変な問題である。けっして軽く考えてはいけない。
長村 洋一(一般社団法人日本食品安全協会代表理事)
