いまさら聞けないクラブの話「ギア効果」のメカニズムってどうなっているの!?
ヘッドの芯を外して打ったときに発生する「ギア効果」とはいったい何なのか? 今さら聞けないギア効果の真実を2024年6月18日号の「週刊ゴルフダイジェスト」で解説しているので「みんゴル」読者にも紹介しよう。
解説はこの人!
<クラブ設計家 松尾好員> 往年の名手S・バレステロス、青木功、加瀬秀樹らのクラブ設計を担当。近年のクラブを知る“現代の知匠”。ジャイロスポーツ主宰。 「週刊ゴルフダイジェスト」で「ヘッドデータはウソつかない!」を連載中
「ギア効果」はどうやって発生する?
クラブ設計家、松尾好員氏に聞いた。ギア効果とは、どういうものなのか? 「ヘッドが回転することでボールに逆回転を生じさせるものです。2つの歯車(ギア)がかみ合った状態をイメージしてください。右のギアが右回転すると左のギアは左回転します。この逆回転がボールに加わるわけです。ただし、ヘッドが回転するには条件があります。スイートスポット(SS)から打点がズレないとヘッドは動きません。打点がズレることでヘッドが当たり負ける。その結果、ヘッドが動く=回転するわけです。ですから、真芯でインパクトした場合、ギア効果は発生しません」 ギア効果を生むには、まずヘッドが回転する必要があるのだ。そのうえでギア効果は、大きく2種類に分けられるという。 「ギア効果はヘッド慣性モーメントと同様、左右、上下が複雑に絡み合う360度的な効果なのですが、一般的にはヨコのギア効果(フェース面の左右)、タテのギア効果(フェース面の上下)で考えるとわかりやすいです。
まずはヨコのギア効果から。SS(芯)に対してトウ側に当たるとボールにフック回転がかかり、ヒール側に当たるとスライス回転がかかります。ヘッドの回転に対して逆方向の回転がボールに働くことになります。一方、タテのギア効果は、バックスピンに影響するものです。SSより上めで当たるとスピンを減らす働き、下めで当たるとスピンを増やす働きが生じます。これがヨコとタテのギア効果になります」 打点のズレによって起きるギア効果は、どこに当たるかでその効果も大きく変わる。ということはミスヒットが多いアマチュアには恩恵があるのだろうか? 「ギア効果はSSから打点がズレるほど、大きく働きます。これはヘッドの重心が深くなるほど、打点と重心が離れ、ヘッドが回転する力が強くなるからです。 次にミスヒットについてですが、ヨコのギア効果で考えれば、トウ側に当たればフックし、ヒール側に当たればスライスしますから、弾道的に真ん中へボールを戻してくれる効果はあります。ですので、ミスの度合いを抑えてくれる可能性はあります。ただ、アマチュアに多い、単にフェースが開いてスライスしたり、かぶってフックするような弾道もありますが、ヘッドが当たり負けして回転しない限り、ギア効果は生まれないので逆回転も加わりません」