金井宇宙飛行士がJAXAで会見(全文4)ミッション期間中の実験などについて
「インクリメントマネージャ」の役割は?
次のページ。次に、インクリメントマネージャの役割について簡単にご説明させていただきます。一番の大きな目的は、「きぼう」を利用するに当たって、その利用成果の最大化を図ることでございます。そのためにこのようなインクリメントマネージャというポジションは2年ほど前に設定されまして、利用成果最大化のために、考えられることを専任的に実施していくというものでございます。 具体的には、まず目標設定をいたします。担当するインクリメントに対して、重点項目、重要ミッション、優先度の設定を行います。 先ほど金井宇宙飛行士からキーメッセージとして、「健康長寿のヒントは宇宙にある」という金井宇宙飛行士のミッションメッセージがございましたが、インクリメントにつきましても、どういったその利用ミッションを重点的にやるかということで、私のインクリメントに関しましては、ちょっと似てございますが、健康長寿社会の実現に向けた宇宙医学、生命科学研究の重点的推進ということで、宇宙医学と生命科学について重点的に実施していきたいという計画にしてございます。それに併せて、重要ミッション優先度も設定してございます。
対NASAなど含め計画に必要な調整行う
次に利用運用の計画の履行でございますが、対NASA調整を含めまして、利用計画に必要な調整を行うというものでございまして、例えば私の例でございますが、先週、実は私、アメリカのヒューストンにあります、NASAのジョンソン宇宙センターに1週間、出張にまいりました。NASAのジョンソン宇宙センターの国際宇宙ステーションプログラムというのは、国際宇宙ステーションの総元締めのようなところでありまして、NASAの国際宇宙ステーションプログラムマネージャーを頂点としまして、その下にいくつもオフィスがございます。 そのオフィスの担当分野に、分野ごとにオフィスがございますから、そのオフィスの責任者の方々に個別に会って、ミーティングをしまして、先ほど申し上げましたJAXAとしての、担当インクリメントの中で、どういったミッションを重点的に行うかというあらましを説明して、NASAからの協力を求めたり、あるいはその挙動を、運用を利用していくに当たって、事前にいくつか課題を抽出してございますので、その課題解決に向けてその方向性を調整してきたという、そういった仕事もしてございます。 また、そういった利用運用計画の履行にかかりまして、いくつかリスクが事前に見えていたりしますので、そういったリスクを把握して、運用管制チームであるとか、開発チームであるとか、あと利用ミッション等のチームと協力して、リスク回避等の検討、処置を行うのも重要な仕事でございます。 こういったインクリメントマネージャに必要とされる要件としては、こちらに示してございますが、マネジメントスキル、テクニカルスキル、ヒューマンスキル、あと英語交渉力等ございますが、一応こういった要件を満たすような、ある程度、経験を積んできた者が任命されるということになってございます。 で、インクリメントマネージャ指名による新展開でございますが、先ほど申し上げましたとおり、2年ほど前からこういった制度を始めてございます。その任命されたインクリメントマネージャが、担当インクリメントに関して目標設定、重点ミッションを設定した運用を開始してございます。