サウジアラビアの「産油国パワー」が抱える複雑な課題
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ウクライナ危機 以降の国際エネルギー情勢不安定化で、原油価格高騰が再び世界の大きな関心を集めるようになった。石油輸出国機構(OPEC)およびロシアなどの一部の非OPEC産油国が協力する「OPECプラス」産油国グループの生産調整政策の決定がニュースのヘッドラインを飾る機会も多くなっている。 中でもOPECの盟主、サウジアラビアの政策動向への関心は高い。7月中旬には米国ジョー・バイデン大統領がサウジアラビアなど 中東を歴訪 し、サウジアラビアの ムハンマド・ビン・サルマーン皇太子 と会談、両国の関係改善とともに原油増産を要請した。この異例ともいえる増産要請の後、OPECプラスは8月3日の会合で9月以降は日量10万バレル(B/D)の増産を決定した。サウジアラビアの戦略判断がこの小幅増産決定の背景要因として重要な役割を果たしたであろうことは想像に難くない。本稿では、サウジアラビアの「産油国パワー」を巡る様々な問題を取り上げ、掘り下げてみたい。 国際石油市場で需給が逼迫し、原油価格が高騰する時、それを鎮静化させるための基本的手段の一つは供給を拡大することである。その際、重要な問題の一つは、市場の状況・必要に応じて、速やかに供給拡大を実施できるかどうか、という点になる。先物市場で原油価格が決定される今日、速やかな供給拡大は価格安定化に極めて重要なのである。
本文:4,248文字
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小山堅