丸紅、「GRANDIT」で国内のERP刷新--脱SAPでコスト削減と業務効率化へ
総合商社の丸紅は、基幹システムの刷新プロジェクトを進めており、統合基幹業務システム(ERP)として「GRANDIT」を導入した。第1弾として、2023年10月から「素材産業グループ 化学品本部」と「食料・アグリグループ アグリ事業本部」の2本部、「丸紅プラックス」と「丸紅ケミックス」の2事業会社で運用を始めている。 当初、「SAP S/4HANA」への移行を検討していたが、時間とコストがかかることが判明したため、全社およびグループ会社のERPをSAPで統一する方針を見直し、領域ごとに最適なERPを採用することを決定した。その上で、国内営業および事業会社の会計領域には、商社業務に適したGRANDITを採用することにした。 丸紅は、追加機能の開発を最小限に抑えることで、SAP S/4HANAで再構築する場合と比べて3割以上のコスト削減を見込んでいる。領域ごとに最適なERPを採用することで、リソースを分散化し、効率的なプロジェクト進行を実現した。また、紙ベースのワークフローを電子化し、ペーパーレス化とリモートワークを促進した。 同社は、1999年に導入した「SAP R/3」に対し、変化する業務環境に対応するために5000以上の追加機能を開発してきたが、旅重なる追加開発によりシステムが複雑化し、2020年の「SAP ECC」へのバージョンアップ時には多大なコストが発生した。さらに、2027年末に迫る「SAP ECC 6.0」の標準保守終了も、ERPのリプレースを検討する大きな要因となった。 丸紅では今後、2029年までにGRANDITを残りの単体8本部、国内事業会社18社に展開する予定だ。