「サニブラウン選手に楽しむこと教わった」 兵庫の中3、ジュニア五輪初V 「夢中で走ったら記録に」
10月に三重県で開かれたJOCジュニアオリンピックカップU16陸上競技大会の女子100メートル障害で、兵庫県神河町の神河中学校3年・福田花奏(はな)さん(15)が初優勝した。タイムは13秒09でJOCのU18の日本記録も更新した。8月の全国中学校体育大会(全中)でも2位と健闘したが、その後の五輪選手との出会いがきっかけで走ることをより楽しめるように。「(JOCでは)自分のレースができた」と納得顔だった。(喜田美咲) 【写真】「カミソリスタート」坂井、挑戦者らしく楽しむ 陸上男子100m代表、初の五輪へ決意 福田さんは小学3年生から地元の陸上クラブで競技を始め、中距離や短距離走でも県優勝などの好成績を収めてきた。ハードルは5年生になってから始め、中学2年時の全中では5位入賞を果たした。1年時は速力でカバーしてハードルを飛び越えていたが、自分の走りを撮影して有力選手とのフォームの違いを見比べながら調整を続けた。 今シーズンは春ごろから左足の甲に痛みがあり、6月は一切走れなかった。「今年は表彰台に」と臨んだ8月の全中でも痛みは残っていたものの、調子を取り戻しながら2位に輝いた。ただ「全力は出せたが、周囲の期待の大きさに気が重くなっていた」という。 JOCを1週間後に控えた10月中旬、陸上男子100メートルのパリ五輪代表、サニブラウン・ハキーム選手が後進育成のために開くトレーニングキャンプに招かれ、参加した。技術指導とともに、1対1で面談する時間が設けられた。 福田さんが大会などで「ランキング1位」と言われることがプレッシャーになっている話すと「周りを気にせず、自分が主役のレースをつくると考えて走ればいい」と助言を受けた。記録や結果よりも「その時のレースを楽しむことが一番なんだ」と気づき、気持ちが軽くなったという。 JOCでは「自分のレーンしか見えなかった」と福田さん。「夢中になって走っていたら、記録が付いてきた」と振り返る。後日、サニブラウン選手からも祝福の言葉が届いたという。 けがなどがあり、競技をやめたいと思うこともあったが、母親が病院への送迎やマッサージをしてくれるなど家族や顧問らに支えられてきた。「高校でもインターハイを目指して競技を続け、その先のオリンピック出場の夢をかなえたい」。表情は晴れやかだ。