ほど遠い「開かれた議会」 都議選前、制約だらけの都議会傍聴してみた
7月2日は、東京都議選の投開票日です。都議会は、議員数をはじめ、議員報酬、政務活動費など日本最大規模の地方議会でありながら、議会改革の面では、他の自治体の議会より遅れていると指摘されています。「開かれた議会」の視点ではどこが問題なのか、都議選前の本会議を実際に一般都民として傍聴し、確かめてみました。
書類に何度も住所氏名を記入
第2回都議会定例会最終日の本会議前日6月6日。議会事務局に電話で確認したところ、本会議開始(午後1時)の1時間前に傍聴券配布とわかったので、当日7日は早めの午前11時30分ごろ、都議会議事堂前に着くようにしました。 2階ロビーでまず、来庁者受付票に名前、会社・団体名、電話番号、訪問先を書き込んで一時通行証を受けとり、首からぶら下げ、同じフロアの待合スペースへ。正午ちょうどに、傍聴券の配布が始まると、今度は傍聴券に、住所と名前を書いて受付に提出。その際、傍聴のルールが書かれた書類と本会議の資料を受け取りました。 さらに、「写真撮影と録音をしたい場合は許可が必要」と聞き、受付担当者に尋ねると「4階の総務課で手続きをお願いします」との答えが。4階に上がり、都議会議長あての申請書類にこの日3度目の名前と、住所を記入しました。 ここでは、使用するカメラやICレコーダーの機種まで記載が必要で、持参した「キヤノンEOS Kiss X7」「オリンパスVoice-Trek V-13」と書き込み提出すると、すぐに許可を得られました。ただし、写真と録音データは、他の人に利用させたり提供したりはできず、個人利用に限られると念を押され、写真撮影を認めた人用の「一般傍聴」と書かれた腕章が渡されました。
音が出る電子機器は議事進行の妨げおそれ
いよいよ本会議場に入ると、携帯電話やパソコンといった電子機器は使用できないとのこと。議会事務局によると、音が出る機器は議事の進行を妨げるおそれがあるためだそうです。また、携帯電話やパソコンは、カメラや録音機能を搭載している機種がほとんどですが、これらは録音機としての申請を認めていないため、使用できない、としています。 次に、7階の傍聴席入口で、係による持ち物チェックを受けました。リュックの中のノートパソコンを係が見つけ、「電源がオフかどうか確認させてください」と確認。モニターを開くとスリープモードだったので、電源を切らされました。 本会議場内は吹き抜けの2フロアです。下のフロアが議員席で、上のフロアは傍聴席と、通路をはさんでカメラマン席、記者席という配置になっていました。ノートにペンを走らせながら、ふと記者席の方に目を向けると、記者たちがノートパソコンを広げてキーを叩いています。カメラが搭載され、音も出る機種だと思われますが、記者クラブ加盟社の記者には認めているということでした。 受付で渡された資料を見つつ、議事の進行を追いましたが、よくわからなくなることもありました。「本日の会議予定」という書類には、「日程第7から第42まで(東京都公文書管理条例外)を一括議決」と書かれていますが、他の資料をみても日程第7から42が何なのか説明がありません。本会議の場で説明される場面もなく、結局何が議決されたのかわからずじまいでした。