ほど遠い「開かれた議会」 都議選前、制約だらけの都議会傍聴してみた
主権者である住民が「傍らで聞く」という考えに問題
議会改革にくわしい山梨学院大学法学部・江藤俊昭教授(60)の話 ── 日本の議会は、住民が主権者だと言われながら傍らで聞く、「傍聴」という言葉に問題がある。主権者が傍らで聞く、ということは住民自治の原則としてありえない。主権者である住民が主体的に参加できない状態にあるのが最も大きな問題だ。 今は「開かれた議会」ということで議会中継の動きが広がっているが、不規則発言をする場合は切ったりしている。議会は公開で討議するのが原則。不規則発言を取り消す場合もあるが、それは公開しないことをなんらかの文書で確認しておくことで乗り切れる。写真撮影や録音は原則認めるべきだ。 また、もっと住民が参加する議会にすべきだ。本会議は難しいかもしれないが、委員会に陳情・請願書を出した市民を参考人として呼んで、意見陳述するところも増えているし、傍聴人に意見を求めるところもある。単なる情報公開だけではなく、住民を参加させることがもっと大事だ。 重要な争点の時は、夜間や休日開催も考えてもよいと思う。日本の自治体の活動量は他国に比べて大きいため、ある程度は日中やらねばならない側面もある。ただ、重要なテーマの場合は、夜間や日曜休日にやることは大事だし、たとえば委員会をそうした日にやって住民の声を聞くことが必要。公聴会も夜間や休日にどんどん開くべきだ。 (取材・文:具志堅浩二)