【有馬記念】ドウデュースの松島正昭オーナー「人生を変えてくれた」愛馬のラストランと盟友・武豊を語り尽くす
―栗東で1週前追い切りもチェックした 「みんながすごいって言うんやから、すごいんやと思う。目に焼き付けておきました。22日まで、今が一番わくわくする」 ―改めてこの秋の2戦を振り返って。天皇賞・秋で久々の勝利 「春が残念だったから。ジョッキーは自信を持っていたけど、どうなのかなと思っていた。4コーナーで届くんかな? って。ペースが遅かったから。でも、ジョッキーは余裕やった。ほっとしましたよ。やった! って。一番うれしかったのがダービー。昨年の有馬記念は武ちゃんのけががあったからほっとした。今回(天皇賞・秋)は春のうっぷんを晴らせてうれしかった」 ―表彰式は武豊ジョッキーがオーナーに声を掛けて心配していた 「ちゃうねん。盾をもらう時に手袋を持っていますよね? って言われて。持っているわけがない。用意してくれたのが小さい女性もので。左右反対になって入らなかった。武ちゃんが“反対です”って」 ―そして、ジャパンCへ 「1週前に聞いたら“何の心配もないですよ”って。レースは見るのも余裕で負ける気がしなかった。絶対はないけどね。ダービーの時に武ちゃんが自信を持っていたけど、あんな感じ」 ―4角手前で動き、先頭に立つまで速かった 「未勝利のペース。4コーナーまくりは過去にない。さすが武豊。武ちゃんだからできる技やから。ドウデュースも強いけど、信頼関係。緊張したけど楽しかった」 ―海外馬も負かした 「ドウデュースは海外に3回行ったけど、あかんかった。今、本当に行きたい。春に一つ勝ってたらフランスに行った。でも、それやと今はない。こっちの方が良かったのかもなぁ」 ―エイダン・オブライエン調教師と話をしましたか 「“強いね”って。エイダンは友達やから。馬もいっぱい預けている。最近、日本馬も強いなと思ったみたい。ドウデュース、(種を)つけに来るって言っていた」 ―表彰式のプレゼンターがイチローさんでした 「オーラがすごい。いい人やった。レースよりもイチローさんに会う方が緊張しますよ、って言ったら“またまたあ”って。武ちゃん、友達やから、負けたらしゃれにならんかった。外堀を埋められて、勝たなあかんみたいなね。武ちゃん、プレッシャーには慣れているやろうけど」 ―二つ勝って、有馬記念は出走しないかも、という声もあった 「三つはしんどい。ドウデュースくんも大変やから。もういいかなとも思った。種牡馬入りも決まっているし、怖いじゃないですか。どうする? ってなった。でも、出なかったら世の中が怒るでしょ? 神様が与えてくれた馬やから、みんなに最後まで喜んでもらって。こんな馬はなかなか出ないから。今、盛り上がってるやん。ありがたい」 ―今年はJRA70周年の節目で迎えるグランプリ。盛り上がるのはいいこと 「うちの会社も70周年やねん。ええ年や」 ―ラストランに名残惜しさもある 「終わりやから、さみしいけど。ドウデュースの子どもや、いろんな馬がおるから、もう1回、ここまでとは言わなくても大きなところを勝ちたい。一発屋で終わったらあかんから。ドウデュースの後継者を」 ―所有馬の種牡馬入りは初めて 「牝馬でいい馬を持っているから、みんなドウデュースをつけて。武ちゃんの年齢との戦いやから。早いことせな」 ―ドウデュースの異父弟のエンダードラゴンもデビュー予定 「来年早々にね。妹もいるし、ミックスセールでコントレイルの子も買った。イクイノックスの子も買わなあかん。弟、妹は全部ね。イクイノックスの母(シャトーブランシュ)にドウデュースもつけるよ」 ―ジョッキーは“今が一番いい”と。引退撤回もあるのでは 「引退式で引退撤回したら、めっちゃ怒られる(笑)」
―どういうラストランを期待するか 「武ちゃんが何とかしてくれるやろ。残り800メートルでちょいちょい上がっていって、まくって…かな」 ―オーナーにとって、ドウデュースとは 「人生を変えてくれた馬。運以外の何ものでもない。こんなことは一生味わえない。全部、武ちゃんと友道先生のおかげ。ありがたい。感謝しかない」
中日スポーツ