「基本給3万円増」「初任給も23万円→26万円に」米国子会社も絶好調なくら寿司、大胆賃上げが話題に。その狙いとは?
考えてみてほしい。あらゆる時間に予約や注文が入り、それを難なくこなして時間通りにオペレーションするのだ。 さらに、IT開発だけではない。外食企業がひしめくなか、店舗開発・立地検索を行い、さらにインバウンド対応、ほぼ毎週のように開催される店舗イベントを立案・実施し、労務管理を行い、各店舗をうまくマネジメントせねばならない。つまり相当に高度な人材が必要だ。 くら寿司の場合は積極的に出店を続け、さらに海外事業にも力をいれるとしている。ならば、より働く場所としての魅力を高めて、新卒・中途採用に力をいれる必要がある。
定額減税が3月に決まって6月に実施されるというバタバタで、事務処理担当者の鬱憤や不満がたまっている。さらに電気代があがり、さらに夏の猛暑で野菜等の値上がりが予想されている。名目賃金は上がっても、実質賃金はまだマイナスを続けている。そんなときに、くら寿司のベースアップ3万円の発表があった。 そこには覚悟を感じたし、一気に10%アップという大胆さも合わさって人々の印象に残ることになった。 それにしても――と私は感じるのだ。
くら寿司が狙った、とは思わないが、このタイミングでの発表はかなりの宣伝効果があっただろうし、人材を集める際にプラスの効果があるだろう。さすがに6億円ぶんの効果があった、とまではいわないが、金銭で計算した際のPR効果はかなりのものだろう。 くら寿司のベースアップは、その宣伝効果も含めて、企業行動に示唆を与える。 ■くら寿司の最近の店の様子
坂口 孝則 :未来調達研究所