「SIMカード10枚詐取に共謀」起訴された携帯電話販売会社社員に無罪判決…福岡地裁
客として訪れた外国人と共謀してスマートフォンのSIMカードをだまし取ったとして、電子計算機使用詐欺罪に問われた東京都の携帯電話販売会社社員の男性被告(52)の判決が12日、福岡地裁であった。武田夕子裁判官は「(外国人が)なりすましであると認識していたとは言い切れない」として、無罪(求刑・懲役2年6月)を言い渡した。
男性は2022年9月、勤務する都内の販売店で、来店したベトナム人の男らが別人の身分証を使ってなりすましてSIMカード10枚を詐取したのに共謀したとして、起訴されていた。
判決では、男と身分証の顔写真がどれだけ似ていたか明らかでなく、別人と見抜けたかどうかは定かでないと指摘。男性が在留カードの確認などを怠って社内ルールに反した契約手続きを行っていたとした上で、「営業成績を上げるために行っていた可能性は否定しきれない」と結論付けた。
男性は判決後、「あきらめずに闘ってきてよかった」と話した。福岡地検の藤野晃俊次席検事は「判決内容を精査し、適切に対応する」とコメントした。