FF、ドラクエの古き良き「思い出」を超えろ――絶滅危機を乗り越え、再注目されるドット絵
JKクリエイターも誕生 高まる芸術的側面
テレビゲームからモバイルゲームへと、時代に応じて活躍の場を広げてきたドット絵。 近年はゲームの世界だけでなく、「ピクセルアート」のように、ドット絵をゲーム以外の文脈と接続しながら新たな魅力を発信する試みもある。
東京・渋谷で2017年から毎年展開されるアートイベント「SHIBUYA PIXEL ART」。 「近年、街がDX化される中で、文化的なものを組み込みたいと考えた」 こう話すのは、実行委員会代表の坂口元邦さんだ。 「ゲーム文脈から拡張されたピクセルアートを、多様な形で展開できる場所として渋谷を選んだ」 現在は50人以上のクリエイターが国内外から参加し、大手企業による協賛やアーティスト・ゆずとのコラボレーションなど盛り上がりを見せている。 参加クリエイターのうち、3割が10~20代と若い。彼らにはドット絵のシンプルな技法が新鮮に映るという。また、四角形の集合体で構成するドット絵に対して縦横ではなく「斜め」の線を使い物議を醸すなど、“常識”に挑む斬新なアプローチが光る。
「SHIBUYA PIXEL ART 2021」で優秀賞を受賞した高校生モデルのバウエル・ジゼル・愛華さんもその一人。ドット絵をプログラムで動かすYouTubeの企画がきっかけで、ドット絵を描くようになった。「少ないピクセルの中でどれだけきれいに描けるか、というのが楽しい」と話す。下書きもせず何となくテーマを決め、タブレットとペンでバランス良くモノを配置しながら作りあげてしまう。
「粗いドットのデジタルの雰囲気が逆に新しい」とバウエルさん。ドット絵は新たなファン・クリエイターを取り込みながら、活躍の場を広げている。 新世代も取り込みながら進化を続けるドット絵。制作中の「ドラゴンクエスト3 HD-2D リメイク」にも、新たな可能性を示す仕上がりを期待したい。