空気清浄機や除菌消臭器が放つ「オゾン」を正しく知って上手に付き合うために(多賀一晃/生活家電.com)
【家電のことはオイラに聞いて!】#71 日本の空気清浄機は、フィルタリングで空気をキレイにするとともに、種々の目的で、いろいろな物質を放出します。シャープの「プラズマクラスター」は好例です。他にパナソニックの「ナノイー」。同社には、「次亜塩素酸」を使用するジアイーノもあります。「オゾン(O3)」を使用するメーカーもあります。 【写真】着るだけで疲労回復するパジャマ「BAKUNE(バクネ)」って何? TENTIALに聞いた このうち「次亜塩素酸」「オゾン」は化学物質名。誰にも、どこでも通用します。その理由は、この2つ、実に強力な酸化剤だからです。 特にオゾンはフッ素に次ぐ2番目に強い酸化力を持ちます。 このため高濃度では猛毒。吸い込むと内臓が酸化してびらん状になります。作業環境基準は0.1ppm以下に指定されています。 新宿地下の公衆トイレで実施されたジアイーノの消臭テストを見物したことがあります。いくら換気しても公衆トイレは臭いますが、ジアイーノがセットされたら全くその臭いがしません。あのしつこい、特有の臭いが、です。次亜塩素酸とはこれほどのものかと、本当に驚きました。 またオゾンは、反応すると酸素(O2)になります。つまり反応したら無害化するのです。無害化は「プラズマクラスター」「ナノイー」「次亜塩素酸」も同様です。 この無害になるという性質を利用して、特に酸化力の高いオゾンは、いろいろなところで使われています。有名なのは塩素に代わる水道水の消毒として。また食材を衛生的に保つときもオゾンが使われます。 一方、海外メーカーは、万が一を考慮して、オゾンを家庭に持ち込むことを極端に嫌います。 ハイアール傘下のアクアは衣類ケアでオゾンを使用するシステムを持っていましたが、今はありません。世界一の白物家電メーカーである親会社が継続を認めなかったようです。洗えないファー付きウエア、ぬいぐるみ、帽子などが、全部無臭化できたので、とても残念です。 日本では、オゾンを安全に使えるように、特定非営利活動法人日本オゾン協会が設立したオゾン発生装置認定制度があります。が、現在、家電メーカーへの認定はありません。 マクセルが採用している「OXY MIST(オキシミスト)技術」(オゾンと微水滴を使用した消臭、除菌技術)は一般社団法人防災安全協会が推奨認定しています。オゾンの安全認定はひとつにまとめて欲しいものです。 ところでオゾンとうまく付き合うには、まずは取扱説明書(取説)を理解すること、そしてその通りに使うことです。化学物質が関わる場合、取説を読まずに使うのは絶対ダメ。薬と毒は表裏一体。薬として使うためには、知識が必要なのです。 ちなみに、マクセルの今年のモデルは、カタログデータから概算すると、最大でも0.05ppm以下。でも、取説通りでお願いします。 (多賀一晃/生活家電.com主宰)