「片づけなさい」と叱るのはNG? 部屋を散らかす子が心に抱えるもの
子どものストレスに気づいてあげる
部屋は自分の心を表す鏡でもあります。子どもたちは朝早くから学校へ行き、授業を受けて、友だちと遊び、また重たいランドセルを背負って自宅に帰ってきます。子どもにとって学校は世界の全てのようなところですが、そこではいろいろなことが起こります。 「友だちとケンカをしてしまった」 「忘れ物をして先生に叱られた」 「勉強が全然面白くない」 「部活動でレギュラーから外されてしまった」 などなど、嫌なことがあったとしても、いちいち「親には言わない」という子も多いです。彼らは彼らなりのストレスをため込んで家に帰ってくるのです。 しかし、子どもは自分にストレスがたまっていることを、自分で気が付くことができません。ストレスがたまっているサインは、怒りっぽくなるなどの、態度からわかります。
部屋というバロメーター
ある精神科医は、たとえ楽しいことであったとしても、脳は疲れるのだと言っていました。脳が疲れるとストレスもたまります。ですから子どもの空間が散らかるときは、片づけることができないほど、外でたくさん脳を使って帰ってきているということが考えられるのです。 部屋は子どもの疲れ具合を見える化してくれる心のバロメーターなのです。 そう考えると、声のかけ方も変わってくるはずです。大きな声で 「片づけなさい!」 と叱っても、子どもは叱られたということしか頭に残りませんし、いやいや片づけをすることになり、余計にストレスがたまります。子どもが口答えをすれば、無駄な口論が勃発し、こちらも結局ストレスがたまりますから、何もいいことがありませんよね。 舛田メソッド「そうじ力」の場合、まずは部屋を褒めてあげることから始めます。 「毎日頑張っている子の部屋だね」 と、優しく声をかけてみてください。そして、子どもの声に耳を傾けていきます。 このときに、親がイライラしていると、子どもは本音を話してくれません。 以前、子どもとお風呂に入るのは何歳までOKかということがニュースになったことがあります。公認心理士の先生は、できれば低学年まででやめたほうがいいだろう、とおっしゃっていました。 大きくなっても異性の親とお風呂に入っていると、異性に裸の姿を見られても恥ずかしくないという子に育つ可能性があるそうです。 記事には小学校高学年の息子がまだ一緒にお風呂に入るけど、大丈夫だろうかという母親の声がありました。公認心理師の先生は、この子の場合はゆっくりと母親と話せる時間がお風呂のときしかないからなのでは、と分析していました。 子どもは親がリラックスしていないときには本音を話しにくいそうなのです。ですから、お子さんの本音が聞きたいときは、親もなるべくリラックスした気持ちで向き合うことが大切なのです。 お子さんの部屋が散らかり始めたなと思ったら 「今日の授業はどんなことをしたの?」 「最近、○○ちゃんは元気?」 「サッカー忙しそうだね」 「塾の宿題、難しい?」 など、ためしに最近の外での出来事を聞いてみてください。 そして、会話の中から本人が悩んでいることや、頑張っていることを見つけて、その気持ちに寄り添うような言葉をかけてあげましょう。 本書の冒頭で社会人になりたての頃の娘の部屋が乱れていたという話を書きましたが、娘も 「頑張っているんだね」 と声をかけただけで、気持ちが溢れてきました。 精一杯頑張っているときほど、人間は全身に力が入っているものです。緊張をほぐしてあげることも、親の大切な役割だと思います。
舛田光洋(そうじ力研究家)